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エミッション試験
(Emission Test)

エミッション試験においては、 装置から放射される伝導性や放射性の妨害の強度が 所定の限度値を超えないかどうかの評価が行なわれる。 この限度値は、ある装置の動作が、 他の装置の動作や無線通信に対する著しい妨害を生じないことの保証を 目的としたものである。

特に無線通信や放送で用いられる帯域における妨害については、 通信や放送における障害を防止するために古くから規制が行なわれている。 基本的には、この種のエミッションの評価は、 被試験装置から放射される電磁波の強度を 被試験装置から所定の距離に置かれた アンテナで測定することによって行なえる。 しかし、比較的低い周波数では電源線 (通信機器においては通信線も) を介した妨害の放射が支配的となるであろうという推測から、 低い周波数 (通常は 30MHz 以下) に対しては 電源線 (あるいは通信線) を介して漏洩する妨害を評価するのが一般的である。

近年は電源系統を介した妨害の事例が増加しており、この防止のために、 高調波電流 (IEC 61000-3-2)、 電圧変動やフリッカー (IEC 61000-3-3) などに対する新たな規制も導入されつつある。

測定

放射性妨害波の測定

オープンサイト、あるいは電波暗室内において、 被試験装置から放射される電磁波のレベルを、 被試験装置から所定の距離 (例えば 10m) 離して置かれた アンテナと 妨害波測定器を用いて測定する。 多くの場合、測定に際して、被試験装置は回転させられ、 またアンテナは床面からの反射波の影響を加味するために昇降させられ、 各周波数に対して得られた最大の値がその周波数における測定結果として用いられる。

Radiated Emission Test

伝導性妨害波の測定

電源端子妨害波の測定は、 通常は被試験装置に LISN (line impedance stabilization network) を通して電源を供給して その測定用端子に現れる電圧を妨害波測定器で分析することによって行なわれる。 LISN は、被試験装置から見た電源のインピーダンスを一定にするとともに、 電源からの外来雑音の妨害波測定器への侵入を低減する ノイズ・フィルタとしての役割も持つ。 LISN を使用することができない場合には、 その代わりに電圧プローブや 電流プローブが用いられる場合もある。

LISN

通信線妨害波の測定も同様であるが、 この場合には通常は LISN の代わりに その通信線の種類に合わせた ISN (impedance stabilization network) が用いられ、 また通信相手をシミュレートする補助装置が ISN の反対側に接続される。

伝導性妨害波の測定の対象は 比較的低い周波数 (例えば 30MHz 以下) が中心となるが、 例えば CISPR 14/EN 55014 では比較的高い周波数の妨害の 吸収クランプ (フェライト・リング群を用いた、ある種の電流プローブ) を用いた測定も規定されている。

by Tom Sato, 2001-09-30