バナナの皮 ― XVI

1994年に、コンピュータのダウンタイムの U.S. のビジネスに対するトータル・コストが 30億ドルを超える最高水準に上昇したことを研究が明らかにした。「電源関連問題」はコンピュータのダウンタイムを引き起こす第一のものであり、発生の 45% 以上を占め、15億ドルの損失を引き起こした。これらの電源関連問題の多くは、コンピュータ・ネットワークの最も基本的な要素 ――それが置かれている建物の配線と接地―― まで追跡できた。
("Networking Equipment and Downtime: Caught in the Middle" by Tony DeSpirito, Electronic Design magazine, April 1997, pp 42-48 より)
我々は 1999年の総計ではどうなっているかにも興味がある。
既存の電話や主電源の配線を通した広帯域データ・アクセス方式の最近の発展は、規定されている無線雑音フロアに悪影響を及ぼし得る非意図的 RF エミッションを引き起こし得る。
(York EMC Services が Radiocommunications Agency のために作成した、 ADSL や VDSL、そして HomeLAN のような主電源配線技術の影響に関する報告書から。この報告書は http://www.radio.gov.uk/busunit/research/ay3525/intro.htm からダウンロードできる。 Radiocommunications Agency の web サイト、 http://www.radio.gov.uk で彼らの研究を探し回れば、他の興味深い文書を多数見付けられるかも知れない。)
米国の読者へ：我々は、xDSL 技術は欧州よりも米国で普及しているものと理解している。この数年で無線雑音フロアの著しい上昇に気付かれた人はおられるだろうか？もしおられれば、あなたの経験を編集者、 nutwooduk@msn.com に知らせていただきたい。
それは完璧な兵器のように思われる。それは、一個の煉瓦を毀つことも一滴の血を流すこともなく、都市の膝を折らせることができる。それについて語る準備のある少数の科学者は、戦争が戦われるであろう方法の大きな変化について話している。平時においてさえも、同一のテクノロジーは我々の日常生活に著しい支障を与え得る。この兵器は作成が実に容易であり、それを組み立てて破壊を引き起こすためには犯罪の才能を必要としない。攻撃が既に始まっていると信じている人々もいるが、この兵器は痕跡を残さないのでこの疑惑の証明は困難である。その完璧な兵器は電磁爆弾である。この元となるアイデアは単純である。電波やマイクロ波の高電力のフラッシュを発生させれば、それはそれが当たったどのような回路をも焼損させるであろう。より低い電力においては、その影響はより微妙である：それは電子システムを混乱させることができ、しばしばそれをクラッシュさせる。電子技術が全てのものへの道を見付ける時代においては、それは大量破壊のための確実な方法である。
(2000年1月1日の New Scientist のカーバー・ストーリー "Just a normal town..." (pp 20-24) より。この記事は現代的なコンピュータやそのシステムが電磁兵器によってクラッシュさせられやすいと主張している研究者を引用している。これについては、1998年6月の Banana Skins No.3 (http://www.compliance-club.com から入手可能) も参照されたい。)
以下の記事 92～98 は、いずれも上記の Radiocommunications Agency の web サイト http://www.radio.gov.uk から入手できる、 Anita Woogara による 1999年9月17日付けの "Study to predict the electromagnetic interference for a typical house in 2010" から取られたものである。
補聴器は 200～4000Hz で動作する。製造業者は、医療機器指令、及び IEC118-13 「セルラー電話からの干渉に対する補聴器のイミュニティ」に適合させなければならない。しかし、経験されたことのある干渉からは、それらは携帯電話のようなアイテムも使いたいと思う補聴器のユーザーにとって適当であるとは感じられない。
携帯電話やタクシー無線が ABS やエアバッグに干渉し、ドライバにその自動車の制御を失わせることが知られている。
鉄道は国土の大半をカバーしており、住宅の極めて近くを通過してその中の機器に影響を及ぼす可能性がある。近傍での情報技術機器のユーザーにはイミュニティの制約が追加される。しかし、そのユーザーが鉄道の近くに位置するかどうかを供給者がいかにして知るかは明解ではない。 (この研究は市街電車システムについても同様のコメントをしている。)
アメリカにおいては、干渉によって切断されることなく携帯電話を掛けることが難しいのがごく普通となっている。これは、広告通りのサービスを提供していないことに対して、人々が携帯電話会社を訴訟するという事態をもたらしている。
内耳インプラントは、聴力を補助するために皮下に置かれる小さい電子デバイスである。残念ながら、それは店舗の出入口の防犯チェックやエアラインの保安システムなどの干渉を受けやすく、それによって損傷を受けることがある。内耳インプラントを付けた人々は、携帯電話を使わないようにも言われている。
イギリス政府は、公共交通機関の使用を奨励しようとしている。公共交通機関を使用する動機の１つは正確さであろう。 BT は、バスの到着時間を web や携帯電話やページャを用いて確認することを可能とするであろうアイデアの調査を行なっている。バスには、その位置を監視できるように GPS 追跡装置が付けられるであろう。この技術は有用なものではあるが、大都市においてはバスに付けられた GPS は干渉のために信頼できなくなるかも知れない。
電子タグは、手首や足首に巻かれた小さいブレスレットの形態を取る。現在、(UK) Home Office は電子タグの主要なユーザーであり、コミュニティ内の囚人を追跡している。子供達には学校へ出かける前にタギング・ブレスレットを付けられ、親はその子供が経路から外れたならば携帯電話やページャを介して通知を受けられる。これの問題は、GPS 信号が干渉を受けた時、その子供が経路を外れたと誤って示されることであろう。この干渉は都市では発生しやすい。この問題は囚人タギングで既に発生している。
(GPS の問題については、1998年12月号の Banana Skinks VI (http://www.compliance-club.com から入手可能) も参照されたい。)

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2001-03-03

[ 前へ | 次へ ]