バナナの皮 ― VI

GPS は誰もが使いたいと思う先進的なテクノロジーのもう１つの例であるが、それは重要な感受性問題を持っている。 GPS 衛星からの信号は非常に弱く、従ってその受信器はそれに応じて敏感なものでなければならず、これはそれらが工業施設からの干渉によって容易に圧倒されることを意味する。それらはマイクロ波周波数を使っているものの、低品質の電源接続のようにありふれたものによる衛星通信の干渉は何回も観察されている。これに加えて、同時にいくつかの衛星を「見る」必要は、 GPS が市街の「都市渓谷」の中では信頼できないことを意味する。 1998年1月10日付けの New Scientist マガジンの GPS に関する２つの記事に興味を引かれた。最初のものはロシアの GPS 妨害装置に関する米軍の懸念についての記事であった。 4W に過ぎない電力 (携帯 CB や保安要員用携帯無線機と同程度) でさえも、このデバイスは半径 200km (そう、200キロメートル！) の GPS システムの動作を妨害できると主張していた。能力のあるいかなる電子技術者も、そのようなデバイスを容易に入手できるコンポーネントから組み上げられるであろう。その号の２番目のものは BT による盲人のための MoBIC 移動システムの広告であった。これは、盲人を目的地に誘導するために、コンピュータ化された地図、音声合成装置、及び GPS を使用する。引用：「私は米軍衛星ガイダンス・システムを使い始めたので、店を回ることが遥かに容易になった。」彼らの製品、特にそれが重要な目的で使用されるものに GPS を組み込む設計者は、このシステムの頑強性の欠如と妨害の容易さへの配慮を望むかも知れない。私は、衛星ナビゲーション・システムがマイクロ波ノイズでブロックされたために、特定の機械が停止させられるまで、航空機、自動車、及び歩行者の群れが、全てある工場の周囲をさまようという幻想を持っている。
(From Keith Armstrong of Cherry Clough Consultants)
デジタル・テレビは、それが置き換えようとしているアナログ・テレビよりも視聴者にプログラムを届けられなくなる可能性が高い。この新しいテクノロジーの頑強性は劣っており、そのユーザーが平均的に以前よりも高率のサービスの喪失を被るように見受けられる。既存のテレビ・アンテナで受信できるデジタル・テレビ放送は、信号強度の低下に従う、性能のより鋭いカット・オフを持つ。 IEE のフェローである R.S.Sandell は、1998年11月の IEE Review に「アナログ受像装置では、角度の変動する『ベネチアン・ブラインド』を通して見なければならないような画像と『煮られている粥』のように変化する濃度でかろうじて生き延びているとしても、大半の時間はプログラムを追うことができるであろう。この怪しい利点はデジタル世代のメンバーの一部の手には入らず、彼らは空白の画面に対面するであろう。特に不運な受信地域においては、この条件は電波強度の変動に従って発生し、また回復するかも知れない。」屋内アンテナ (子供の寝室の「兎の耳」アンテナの付いたテレビ？) を使っている視聴者は、新しい外部アンテナか、アンテナ増幅器と分配器を入手する必要があることに気付くかも知れない。衛星放送デジタル・テレビは、アップリンク、及びダウンリンクの双方で、極めて雷雨に影響されやすい。これは、衛星デジタル・テレビを非常に良い天候の南アフリカで見ている時に、ヨーロッパのアップリンクの近くでの雷雨が 100チャンネル (あるいはどれだけの数でも) 全てを何分にもわたって全く見られなくする可能性があるという、奇妙な状況を引き起こす。この状況は衛星放送事業者には良く知られており、これに関する簡単な説明を時々放送している。
(From Keith Armstrong of Cherry Clough Consultants)
144MHz 帯アマチュア無線の干渉が、ある超音波鼠忌避装置によるものであったことが判明した。
(Brad Thomson, Editor of Test and Measurement World, Feb 95)
サラウンド・プロセッサの設定のために用いられる家庭用装置の動作が、オーディオに 1/2 秒の中断を引き起こした。
(From Neil Gardner, Plantronics, August 98)
ある先進的ハイファイ・システムの入力セレクタが、 100ヤード離れたパブでのタクシー無線送信器の使用によって切り替わることがあった。
(From a Technical Director of Lumonics, 1996).
その近くで誰かが特定の Motorola Micro-Tac 携帯電話のマイクに向かって実際に喋ると、ある Tissot デジタル／アナログ腕時計は時間旅行モード (約 ×60倍) に入ってしまった。
(Chris Dupres, 7/7/98. It was his watch!)
EMC の 18年以上の経験から、干渉事故を延々とリストすることができるようになった。今年のいくつかの例：私のコンピュータ (FCC Class B) が、私のコードレス電話に、その 10チャンネル全てについてある程度干渉した。私のファックス (FCC Class B) が、私のテレビと、私のコードレス電話のいくつかのチャネルに干渉した。私のディスポーザ・ユニットが全てのものに干渉した！私の小さなファンがモニタの表示を崩した。
(From Derek at LF Research, 6th July 98)
家庭用電子レンジが、一部の乗物に取り付けられている保安用センサを作動させる可能性がある。
(From Terry Beadman, MIRA, 6th November 1998).
Canadian Centre for Marine Communications は、自動操舵の誤動作を引き起こすことによって、 EMI が２件の船舶転覆に関係したであろう証拠があると主張している。１件は1989年8月17日の 16m 釣船「Dalewood Provider」、もう１件は1987年4月25日の 64トン「Martin N」であった。後者の事例では３名の命が失われた。双方の事例における、その関連は、組み込みの VHF 無線電話システムの自動操舵システムに対する干渉が、その舵を過度に切らせるに足るものであったというものである。そのセンターのスタッフは、自動操舵が設定されて VHF 無線が使われた時の、多くは自動操舵システムのインターフェースと制御ケーブルの不充分な EMI 抑制による船舶の航路の誤った変更はありふれていると報告している。
(From an article in EMC Technology magazine)

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2000-12-09

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