自由空間伝搬損失
(free space propagation loss)

基本伝搬損失

自由空間中に、2つの等方性アンテナを距離 d を隔てて置き、一方から電力を放射した場合を考える。

半径 d [m] の球の表面積は 4πd² [m²] であり、等方性アンテナから放射された電力はその球の表面を通過することになるので、電力 P_t を放射している等方性アンテナから距離 d [m] における電力密度 P_d [W/m²] は、

P_d = P_t / 4πd²

となる。一方、等方性アンテナの実効面積は、

S = λ² / 4π

であり、これを電力密度 P_d の平面波の中に置いた時に受信される電力は、

P_r = P_d S = (P_t / 4πd²) (λ² / 4π) = P_t (λ / 4πd)²

となる。

この場合、放射された電力の (λ / 4πd)² が受信側へと伝送されたこととなり、この逆数、

L_b = (4πd / λ)²

が、自由空間伝搬損失 (自由空間基本伝搬損失) と呼ばれるものとなる。

ここで、距離 d [km]、周波数を f [MHz] とすると、

λ [km] = c [km/μs] / f [MHz] = 0.3 / f

であるので、

L_b = (4πd / λ)² = (4πd f / c)² = (4πd f / 0.3)²

となり、これをデシベルで表現すると、

L = 32.44 + 20log(f [MHz]) + 20log(d [km])

となる。

一般に、送信側、及び受信側のアンテナのゲインが G_t、及び G_r である時、送信側から受信側へ自由空間内を介して伝達される電力の割合は、

P_r / P_t = G_t G_r (λ / 4πd)²

で与えられる。この式は、フリースの伝達公式 (Friis' transmission equation) と呼ばれる。

by Tom Sato, 2009-08-10, 2010-12-01