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よく考えると、この答えは最初に思ったほど簡単なものではないことに気付く。 水のようなものについて検討して見よう ――これは人を殺し、財産に損害を与えることがある。
我々は数インチの深さしかない水で溺れることがあり、 またそれを何日も絶たれれば確実に死んでしまう。 消火ホースや開けっぱなしの蛇口による被害を受けた人は、 水が引き起こすことのできる損害を知ることであろう。
同様に、電池に含まれる材料は、電池を開けたり飲み込んだりした場合には 危険なものとなり得ることが知られているにも関わらず、 電池の購入については何の制限もない。
その使用方法が良く知られ、一般に受け入れられている限り、 これらの特性そのものは その製品を我々の社会で使用するために受け入れられないものとはしない。
我々は小さい子供が風呂で溺れたり 調理器や火で火傷をしたりしないように注意し、 特定の製品を極端に誤って使用した際に傷害を受けることを受け入れる。 最後のライン ―― いかなるものも完全に安全にはできない。
規格の役割は、製品の設計や使用についての指針を提供し、 許容できるレベルの安全性を保証することである。
ここで我々の考察と期待を要約しておくことは有益であろう。 我々の大半は製品は傷害や損害を引き起こすべきではないと感じており、 それらの安全な使用のためにある程度の責任を持つことを受け入れる。 これらの全く合理的な視点は それが普遍的に受け入れられたとしても何の問題ももたらさないであろうし、 憶えておくことができる ――しかし、残念ながらこれらの２つの条件はいずれも真ではない。
まず、「ユーザー」に与えるべき保護のレベルについて 全ての製造業者が合意することはないであろう。 あるものは高い「品質」 (GKCL01 を参照) をそれ相応の高いコストで提供するかも知れないが、 他のものは低い「品質」のソリューションを提供するかも知れない。
この結果は、同種の製品が、その製造業者に依存して 消費者に異なったレベルのリスクを与えるということにもなる。 これは観念的な状況ではない ―― 高い「品質」の製品によって設定された期待は、 他の製造業者の類似製品を使う際に誤った安全の感覚を与えるかも知れない。
ニューアプローチ安全指令の対象外となる全ての製品は、 自動的に一般安全指令の対象となる。 従って：
一般安全指令に含まれる必須要求は、 LVD におけるものと良く似ている。 すなわち：
従って、我々の製品全てを同一の安全性評価や試験に供することにも関心がある。 一般安全指令は「オールド・アプローチ」指令であり、 従って CE マーク が適用されず、 適合宣言書 の発行を伴わないことを理解することは重要である： しかし、我々はこの指令の意図の範囲内で 製品が安全であることを保証しなければならない。
通常、指令は「適切な整合規格に適合する製品は この指令の必須要求に適合するものとみなす」 のようなフレーズを含んでいる。
これが意味するものは、我々の製品が適切な整合規格に適合するならば、 その製品に CE マークを付けられるということである。
ここで注意すべき重要な単語は、「みなす」、及び「適切な」である。 以下に示すものは、注意する必要がある含意の一部である：
従って、整合規格の使用は CE マーキングの適用を可能とするが、これは その製品が対応する指令の必須要求を満足することを保証するわけではない ―― 不適合は告訴の根拠として用いられるかも知れない。
この面では、整合規格は交通法規と比較することができる ―― これらは両方とも指針を与えるが、 事故を起こさないことを保証するわけではない。
適合性を示し、「データ・ファイル」を作成することは、 ほとんどの有能な技術者の能力の範囲内にあるが、 規格、その解釈、製品の用途、 そして製造に際していかに適合性を維持するかについての 専門的な知識を必要とする、専門家の業務である。 これらの業務についての議論は将来の論文で述べることとなろう。
規格の選択はあなたが行なわなければならない： しかし、適切であるかも知れない規格に、 その製品の機能やインターフェースが どのように影響するかを理解することは重要である。
例： 私は電子試験装置を設計しており、 EN61010 の「適用範囲」を読んでそれを使うことに決めた。私の製品のいくつかは RS-232 インターフェースを持っており、 パーソナル・コンピュータ (PC) に接続される： これらの製品は EN60950 でカバーされている。
EN61010 と EN60950 を比較して、それらの重要な違いに気付いた。 安全障壁の電気的絶縁については、 私が「危険な電圧」と 「オペレータがアクセス可能」な RS-232 出力のあいだに用いた EN61010 の「沿面距離」と「空間距離」は、 EN60950 (これは私の用途ではより大きな距離を要求している) の要求には適合していない。
この状況では、 我々はオペレータがさらされるリスクについて検討しなければならない。 私の試験装置のオペレータは適切な規格によって制限されている。 PC のオペレータがさらされる危険は EN60950 によって制限されているが、 私の製品を PC に接続すると 「オペレータ」をより大きなリスクに曝すかも知れない。
「これは犯罪か？」、「私は告訴される可能性があるか？」 ―― 率直に言えば、私は知らない ―― この決定は行政組織や法廷によって行なわれる。 しかし、もし告訴されたとしても、告訴に備えてあれば 個人的には勝利をより強く確信することができるであろう。
このマッピング作業は：
このマッピング作業はコンセプト段階のあいだに完了させなければならない： もしこれに失敗したならば、プリント板の配置のみではなく、 機構的な設計に対してもリスクが生じることになる； ラベルや説明書も不適合となるかも知れない。 それにより、製品を完成させ、 あるいは評価のための試作品さえもできあがらないうちに 高価な再設計を行なうことを余儀なくされるかも知れない。 特別な考慮を必要とする 電気的インターフェースやコンポーネントについてのマッピング (例えば防火エンクロージャの必要性) も行ない、 その結果を「データ・ファイル」に追加すべきである。
次の論文では、 物理的、及び機械的な設計上の考慮点のいくつかを概観する。 これは、我々の新製品の全体の形状、大きさ、及び構造を規定するのは、 これらの要素であるからである。
これは、Gregg Kervill 氏が UK EMC Journal 上で発表した文書を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: October 30, 1999