[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]
翻訳: T.Sato
その職員らは、市内の多数のコンピュータ組み立て業者を特定した。 それらの対象の全ては 150万ポンド強を売り上げており、 また前年に EMC 規制に関するガイダンスの発行を受けていた。 その職員らは、£650〜£850 のあいだの価格の ４台の「標準」 486 パーソナル・コンピュータを購入した。 それらの製品は、EN 55022:1995 ――商業／軽工業環境に置かれることを意図した情報技術機器のための整合規格―― への適合性に関して NAMAS 認証テスト・ハウスで試験された。
４台のコンピュータ全てが、 EN 55022 で示されている伝導性エミッションの性能要求に対して不合格となった。 １台のコンピュータは、不合格てはあったものの、僅かにであった。 引き続いての調査は、その問題の企業は我々のアドバイスに従っており、 我々の購入の時点からは ――注意を受けることなく―― 彼らの製品にさらに改善を行なっていたことを示した。 この点から、我々はこの問題をそれ以上追求しないことに決定した。
残りの３台のコンピュータは、いずれもエミッション要求に大幅に不合格となっていた。 組み立て業者３社全てが、その会社で行なわれている 製品の供給と確認のシステムについてのインタビューを受けた。 その後で１通の警告文書が発行され、残りの２つのケースは告訴へと進んだ。
我々の調査と意図している活動の方向が発表されてから、 我々はいくつかのメディアの注意を引くようになった。 「UK で最初の告訴」や「EMC が法廷へ」といったものが、 電子関係の出版物での典型的なヘッドラインであった。 一部の解説者は我々を英雄として迎えたが、 他のものにとっては我々は熱狂しすぎた役人であった。 彼らがどのようにコメントしていようと、 私自身の心配は EMC 規制の「強制力」であった。 多くの人はそれらの内容と構造に疑念を表明していた。 それらの憂慮が実体化したならば、 産業界にさらに大きな衝撃が走り抜けることになっただろう。
最初のケースは 1997年 10月 8日に法廷に出されて１時間強で終了し、 有罪となった。 彼らの弁護士は 40分を費して軽減を求めたが、 その企業は、保護要求への不適合、 及び CE マークの不正使用に対して有罪を申し渡された。
被告側弁護士は、次のような点に言及した：
法廷は、その企業にそれぞれの違反について £1,000 を科し、 また Trading Standards の £1,000 を超える費用を負担させることを決定した。 我々が介入してから、その企業は £5,000 の費用をかけてその問題を改善した。 この費用は試験とコンサルタント業務の料金を含んでいる。
このケースそのものに他の興味深い面があった。 例えばその試験結果； それらはグラフ上にプロットされ、教育を受けたアマチュアとしてさえも、 私は何かがおかしいことに気付いた。 プロットされた点はグラフを着実に登って行って電気的ノイズの上昇を示し、 視界から消えた。 数ミリメートル右へ行くと、それは下降線上に再び現れた。 そのテスト・ハウスは、そのコンピュータは 実際の量を測ることができなかったほど高いノイズを発生していたと言った。 それは彼らが扱ったことのある中で最悪のものであり続けている。
第二のケースも有罪となった。 今回は、その企業は保護要求への不適合に関して £1,500、 CE マークの不正使用に関して £250、 そして適合宣言書を発行していないことに関して £250 を科された。 この告訴の後、Trading Standards Officers は、 その企業の「充分な注意 (due diligence)」のシステムの構成を支援した。 この提案は生産者全てに対して行なわれたが、数社のみがその提案を受けた。
表面上はこれらは単純な告訴であったが、勝訴までには我々は多数の困難に出会った。
肯定的な報告として ―― South Wales の Trading Standards Officers によって取られた積極的な任務は実を結んだ。
£2,000 の罰金に対する同業者の反応は予測できた ―― 「もう１つの生産コスト」、「ちょっとした支出」。 彼らが理解し損ねているのは、その目に見えないコストである。 EMC 規則は、押収、販売停止、そして没収の権限を含んでいる。 Cardiff のケースでは販売停止とさせられたものはなかったが、 問題は設計と多数の廃棄された電源ユニットに影響した。 しかし、最初の生産者が異義を申し立てたならば我々は在庫の販売停止を考えたであろうし、 没収命令が出されたならば、不適合の実際のコストは６桁に近いものとなったであろう。 それが起きた時 ――そして私はそうなると信じるが―― には、 この規制はさらに大きな吟味の主題となるであろう。
これらの告訴が行なわれたという事実は、私の役目の失敗として見られるかも知れない。 Cardiff の Trading Standards Service は、 その地域の生産者らを教育しようと尽力している。 いくつかのケースでは我々は成功しているが、 他のケースでは我々の言葉は耳を傾けられず、 私は依然として我々が彼らを捕まえることはないと信じている人々が いるのではないかと疑っている。 告訴は最後の手段であり、Trading Standards は 常に最初は事業者が規制を守ることを助けようとし、 最後の手段としてのみ法律の強制力を適用する。
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2001-12-04