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翻訳: T.Sato
私の記事、「PLT についての EMCIA の見解」 [1] の後に PLT についての別の記事を書くつもりはなかったが、 考えを変えさせる3つの重要なことがあった：
最初の2点について簡単に述べるが、 ここで焦点を当てたいのは第3のものであり、それがこの記事の主題である。
1) この主導的な専門家と組織の会合は、そもそも、 「広帯域 PLT」製品の EMC 指令への不適合のため、そして見掛け上 執行機関のいずれもがそれに関して何かをすることを拒否したために招集された。
だが、ある専門家は、 低いデータ・レートと 150kHz 以下の周波数を用いた PLT は何年も前からあり、 干渉問題を全く起こしていないことを指摘した。 それには、EMC 指令のもとでリストされた専用のエミッション規格、 EN 50065-1 さえある。
無線スペクトラムへの干渉を生じるどのような製品も懸念していると全員が認め、 これは、CISPR エミッション限度に適合しない、より最近の 「広帯域 PLT」を除き、 彼らが PLT にそのような懸念を持っていなかったことを意味する。
専門家の一人は、この話題について書いたものを校正している時に、 彼の妻がそれを「貪欲な PLT」と述べたと語った ―― そうあるべきよりも多くのスペクトラムを貪り食らう何かに対する、 かなりうまい呼び方である。
彼らは、次の点に同意した：
この専門家グループは、上記の 2) と 3) が公知となり、 EMC 指令とその各国での具体化を EC と UK の様々な機関が軽視していることをほぼ確実に示す直前に集まった。 明らかに、そのグループは大いに必要とされている。
なぜ CISPR 限度に焦点を当てるのか？ EMC 指令 [2] は必須要求への適合の２つのルートを認める： 「規格ルート」、そして「技術文書ファイル」。
規格ルートのもとで使用できる規格は、 全てそのエミッション限度を CISPR 限度に基づく。 「技術文書ファイル」ルートはどのような規格を使う必要もなく、 従って規格に対して製品を試験し難い場合 (例えば非常に大きくて試験室に入らない、 あるいはユーザーの施設で初めて組み立てられられるカスタムの機器) に有用であり、 全面的な適合試験のコストを負担することが難しいことに気付いて EMC 設計能力と少数の低コストな試験に頼る新興企業にとっても有用である。
だが、いずれの「適合へのルート」を選択したとしても、 全ての製品は第5条の必須要求に適合しなければならない：
機器は、最新の技術水準を考慮して、 以下のことを確かとするように設計されなければならない:
(a) 発生する電磁妨害が無線/通信機器やその他の機器が 意図されたように動作できなくなるレベルを超えない;
(b) 意図された使用の受け入れられない劣化なしに動作することを可能とする、 意図された使用で予期される電磁妨害に対するイミュニティのレベルを持つ。
CISPR は、その主な任務が無線スペクトラムの保護のための エミッション限度の設定である唯一の国際機関であり、 彼らは全 EMC 産業の広範な満足のために 数十年にわたってこれを成功裡に行ってきた。
そこで、その専門家グループは、 上で強調したエミッション要求に製品が適合するかどうかの判断のための 「ものさし」として、適当な CISPR 限度への適合を選択した。 製造業者が EMC 指令への適合をどのように主張したかは関係ない ―― 決定的な論点、「アシッドテスト」 (それが好きであれば) は、 動作サイクル内の任意の点でエミッションが CISPR 限度を超えるかどうかである。
それを超えるならば、その製品は無線／通信機器やその他の機器が 意図されたように動作できなくなるレベルを超えている筈であり (なぜなら、CISPR はこの決定のために何百人年も費してきたので)、 従って EMC 指令に不適合であるとみなすべきである。
実際には、CISPR 限度はそのように確固たるものではなく、 CISPR 限度に適合する製品が依然として干渉を引き起こすことを示す 豊富な技術的論拠が、そしてその実例がある。 その限度は、顧客にとっての製品のコストと その隣人への干渉の可能性とのあいだの、穏当な妥協となるように考えられた。
例えば、家庭環境のための CISPR 限度は、 10m よりも近くのラジオ受信器を保護しないかも知れないことを認める ―― だが、現代的な住宅のほとんどはどの方向にも 10m よりも大きくなく、 何ダースもの電気器具と電子製品を含む。 では現代的なエミッション限度は 1m の距離のラジオ受信器を保護する必要があるだろうか？ 従って、CISPR 限度への適合に頼ることで、 その専門家グループ (まだ合意された総称はない) を 熱くなりすぎていると咎めることはできない。
2) 現在、EN 55022 の 1998年版が EMC 指令のもとでリストされている。 技術の最も急激な進歩を経験している製品 ――情報技術と通信―― をカバーする規格が 11年も昔のものであるというのは、かなり奇妙である。 その2006年版をさらに2年間延期することは、 全ての EMC 試験所と多くの製造業者にあらゆる種類の問題をもたらすので、 欧州委員会の DG Enterprise (技術的スタッフを全く雇っていない) が 自らの EMC 作業部会と彼らが助言を求めた全ての標準化専門家の 一致したアドバイスに逆らうのには、非常に良い理由があった筈である。 さて、その理由は実際にはこうであった： 1998年版には、その主電源エミッション限度 (CISPR 限度!) を 試験される製品にどのように適用するかを述べる若干のテキストが含まれている。 そのようなテキスト全てと同様、 正しく理解するためには所定の技術的能力を必要とする。 2006年版は、図 ――決定木もしくは流れ図―― を含めることで そのテキストを理解しやすくしており、この包含がその延期の唯一の理由である。
何故か？ (あなたが尋ねるのが聞こえる) そう、貪欲な PLT 製品の特定の製造業者は、 欧州のほとんどの政治家、官僚、ジャーナリスト、そして EMC 執行機関が、 主電源エミッション限度をどのように適用するかを説明するテキストの 言葉遣いを理解する技術的能力を持たないという事実を頼みにして、 EN 55022:1998 への適合を主張する。
PLT Update に対する、1) で述べた専門家グループのうちの4人の初期反応は：
専門家 1): 明らかに、Ofcom は、 RSGB が詳述した不適合の事例 (2009年7月21日付け) を調査する手間は かけられないと決定した。 彼らの PLT Update は多くの面で正確でさえなく、 ケーブル放射を特に狙ってモデムを除外した M313 に言及してさえいない。
専門家 2): その発表をざっと調べて、 外されたものの方が含められたものよりも重要であると感じた。 ほとんど全ての章が、不正確さ、 あるいはさらなる情報を必要とする領域のいずれかを含む。
専門家 3): 引用： 「その証拠から、Ofcom はこれまで EMC 必須要求への違反があることに気付いていない。」 これは明らかに真ではない。
専門家 4)： ネルソン提督のアプローチ！ (以下のパネルを参照)
英国艦隊を指揮したホレーショ・ネルソン提督は、 望遠鏡を失明した目に当て、「船は見えない」と言ったと言われている。
その引用はほぼ確実に不正確であるが、その表現は、 見ようとしさえすれば全員に全く明らかなものを見ることを誰かが拒否する時に 良く用いられるようになっている。
Ofcom の 9月の PLT Update が、 任意の他の製品を2倍早く市場から排除するために 分別のある任意の執行者が必要とするであろう全ての情報を 既に提供されている時に 貪欲な PLT の「独自調査」に対して支払う決定についてだけでなく、 将来は広範に書かれるであろうと確信する。
Ofcom の PLT Update は、これまでの 143件の苦情全てが 「無線愛好家」からのものであると言明する ―― だが、 UKQRM ウェブサイト (http://www.ukqrm.org/) は、 貪欲な PLT がワイヤレス・マウスに干渉したインシデントと その他の非無線受信干渉インシデントもリストしている。 それは、貪欲な PLT が広帯域インターネット接続の速度を低下させ得ることも示す。
Ofcom PLT Update で示された、それほど微妙ではないメッセージは、 文句を言っているのはホビーストだけであり、 重要なものは何も影響されていない、というものである。
その言外の主張は、我々のほとんどは空間を通すか、あるいは インターネットによるかのいずれかでメディアをデジタル的に受信するので、 少数のオタクの趣味をあまり気にするべきではない、というものである。 デジタル・メディアは干渉の兆候を何ら示さず、 単に動作しなくなって製品が故障したように思わせるので、 以下の c) が示すように、この主張は正しくない。
だが、アマチュア無線家と短波聴取者のコミュニティは、 無線スペクトラムの「炭坑のカナリア」である (次のパネルを参照)。 彼らの活動の敏感さのため、彼らは往々にして干渉に最初に気付く者となり、 我々多数派が彼らの苦情を無視するのは我々の危険となる。
だが、2006年版の図はそのテキストを理解しやすくし、 貪欲な PLT 製品が実際には 彼らが主張していたように EN 55022 に適合できないことに気付かないためには かなりぼんやりとしていなければならなくなることだろう。
このため、欧州委員会は EN 55022 の 2006年版の EMC 指令のもとでのリストを延期し、 これは、本当に適合している (ほとんどの) 人々を 貪欲な PLT 製品の製造業者が嘲笑い続けられるようにするというだけの理由で、 EMC 試験所と製造業者とに明らかにされていない困難をもたらすことだろう。
貪欲な PLT 製品が我々の現代的な世界にどのような利益をもたらすかを レビューするために、少し寄り道をしよう：
では、誰が屋内で広帯域 Ethernet を使うのか？ 主に、それを用いることで Ethernet ケーブルを用いずにコンピュータをテレビに接続できる、 十代のマルチプレーヤー・ゲーマー、 そして BT Vision のようなインターネット・テレビ・サービスを使う人々である。
これが他の全ての人々が従わなければならない法律を 貪欲な PLT の製造業者が嘲笑い続けることを認めるための 充分に良い理由であると主張できるのは、非常に奇妙な人であるように思われる。 だが、これが DG Enterprise がまさに行ったことである。 真実は小説よりも奇なるものであることをはっきりと証明するが、 それは僅かな慰めである。
興味深いことに、 貪欲な PLT は CISPR 限度内に収まるように信号の振幅を低減しても 市場のデータ転送レート要求の 95% を満足させられることを指摘した EMC 専門家は、 Richard Marshall [3] だけではない。
彼らの貪欲なテクノロジを使い続けることを DG Enterprise が認めるであろうことを、 そして欧州連合全域の EMC 執行者全てが EC に立ち向かう能力も度胸も持たないことから EC の先導に従うであろうことを どうにかして知ったことから、 PLT 製造業者がこの全く道理にかなったステップをとらないものと理解する。
3) さて、EC 官僚主義の目も眩むような高みから、 UK の我々自身の愛すべき Ofcom へと辿り着いた。 数年前に Ofcom が Radio Agency と Radio Investigation Service を併合した時、 人々は、テレコムと無線通信の産業のために働いていた組織が どうすれば同じ産業の取り締まりも行えるのかといぶかった。
UK の農業において、 「密猟者」と「猟場番人」を１つの機関に統合するというこれと同じアプローチが 様々な健康上の危機を引き起こしており、 今度は同じ鶏が Ofcom に焼き鳥にされるために帰ってきたようである。 (決まり文句の巧みな使用は気に入るだろうか？) ともかく、URL を以前に示した Ofcom PLT ウェブページは、 あなた方全員が既に訪れたことと思う。 Ofcom の 9月の PLT Update に対する RSGB の否定についての Bill Ray の記事を見るために、 www.theregister.co.uk/2009/09/04/power_line_networking/ も訪れたいと思うかも知れない。
少数のホビーストの苦情として始まったものが、UK 政府の 「デジタル・ブリテン」イニシアティブ [4] を脅かし得る脅威となり得る。
カナリア (北アフリカ沖の島々ではなく、小さい黄色いさえずる鳥) は、 地下の空気の質の問題を示すために、坑夫によって驚くほど最近まで使われていた。それは空気の質に極めて敏感であり、 (より大きい) 坑夫にとって危険となり過ぎる前に毒性や可燃性のガスを警告した。
背景については、http://en.wikipedia.org/wiki/Animal_sentinels、及び http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/december/30/newsid_2547000/2547587.stm を参照されたい。 「炭坑のカナリア」という表現は、今は、 特に敏感な、あるいは意識を持つグループが、 より広範囲の大衆にまだ明らかになっていない深刻な問題を見付けた時に、 広く用いられている。
同じ名前のポップ・グループは我々の主題と無関係であるが、 あなたは彼らの音楽を楽しむかも知れない。
さて、ようやく、この記事の表題である、私が焦点を当てたかった話題、 Ofcom の次の声明に辿り着いた：
「受け取った苦情とこれまでに得た証拠を評価し、Ofcom は、 現時点ではこの状況から生じる顕著な公衆の危険はなさそうであると判断した。」彼らは明らかに、EMC 指令の必須要求への適合を、受け取った苦情の数、 そして何らかの公衆の危険の問題とを結び付けている。 貪欲な PLT 製品を試験したどの試験所も、 それらが常に CISPR 限度の少なくとも 30dB 上にあることを示し、 Ofcom は彼ら自身で PLT を試験したことがないとしても そのような試験結果を提供されているので、 彼らは極度に怪しげなアプローチに頼ることを強いられている。
試験そのものは１時間程度を要し、 どの EMC 試験所も £400 以下で実施して報告を出すことができる。 Tim Williams はこれを自分自身で行い、その結果を [5] で詳述した。 それは、RSGB が Ofcom に提出し、また他が Trading Standards に提出した、 試験所での全面的な適合試験結果と非常に良く一致している。
dB はトリッキーな概念となり得るので、全体を見渡すために、 CISPR 限度よりも 30dB 高いエミッションを持つことは、 少なくとも 1,000台のかろうじて EMC 適合の製品を同じ主電源ソケットに挿し込んで 全てを同時に動作させることと等価であることを指摘しておく。 (専門家によっては、それは 100,000台のかろうじて合法な製品に相当すると主張する。) だが、この記事の表題と主な焦点に戻るために： 苦情の少なさは適合の証拠ではなく、いくつかの良い理由から、 その多くはそれ自身でこのアプローチを裏切るのに充分である：
従って、干渉の苦情の数の少なさは EMC 指令への適合の論拠としては使用できない。 (そして、Ofcom の「公衆の危険」についてのコメントは、 法的な EMC 適合のどの概念とも全く関係しない。)
このありふれた、だが誤った信念は、 William Cowper がこの誤った論理を 200年ほど前に見通したと指摘した私の記事、 「証明の不在は不在の証明ではない」 [6] でやや詳しく調べた。
誰かがこの種の論拠を用いているのを聞いた時、 それは2つのいずれかを意味する:
後者の用法 ――あなたをだまそうとしている場合―― は、政治家に、 そして製造物責任訴訟への防衛を手段を選ばずに行おうとする 安全意識の低い製造業者に、非常に人気がある。 Ofcom の要員は充分な教育を受けていると信じるので、 彼らは何を言うかを誰かに言われたために そのような疑わしい主張を用いているものと仮定する。
アナログの「古の日々」には、干渉は雑音や歪みとして明白であり、 例えば、自動車の点火、ヘア・ドライヤー、 そして他の受信器の局発を容易に区別できた。 だが、今日では、我々のデジタルのラジオやテレビは、 良好な音声と画像を与えるか、あるいは全く何も与えない。 従って、それらが干渉を受けた時、 ユーザーは故障したものと思い、修理か交換のために店に戻す。
これは、まさに 2002年に 6億ポンドの損失と 1700人の失業とともに ITV Digital の消滅を引き起こしたものである。 政府は彼らに弱い信号の送信しか許さず、従って干渉は大きな問題であった。 デジタル製品であるが故に、多くの顧客は映像を全く受信できず、 単にそのセットが壊れたとものと思った。
我々のメディア全ては、既にデジタルとなっているか、 あるいは急速にそうなりつつあるので、 干渉の苦情は保証のもとで返品される製品に取って代わられるだろう。
勿論、返品されたセットが工場で試験された時には、 完璧に働くことがわかる。
製品を新しいもので交換することは、おそらくは 同じ問題をそれぞれの顧客で幾度も繰り返して生じさせることになるだろう。
無過失保証返品への対処は、 UK の製造業者と海外企業の代理人への大きな負担を意味する。 だが、その明るい面として、保証切れの製品のため、 修理店には多くの追加のビジネスがあることだろうと思う。 残念ながら、彼らは製品の「故障」を直すことはできないであろう。
Intellect (http://www.intellectuk.org/) が、 彼らの事業に対するこの正当化できないコストから その製造業のメンバーを保護するように、 Ofcom に働きかけているかどうか知りたいと思う。 彼らはそうすべきである！ Ethernet や xDSL (電話線を通して広帯域インターネット接続を行なう) のようなデジタル通信については、 干渉の影響はデータ・レートを低下させることである。 オフィスの Ethernet システムはしばしば干渉 ――単に、蛍光灯器具に近すぎるところを引かれた、 天井の隙間の Ethernet によるものかも知れない―― に伴って速度を落とすが、 そのデジタル・プロトコルが干渉をシステムのユーザーから隠し、 彼らの典型的な反応は、何か大きなソフトウェア・タスクが実行されている、 あるいは「ログオンしている人が多すぎるのだろう」というものである。
イギリスの人々は苦情屋ではなく、苦情の理由をなくすことよりも、 同情されようとして不平を言うことを好む。
このラインに沿って、何年か前、 UK の新しい Labour Government が無線干渉の苦情の数を 減らすことを望んでいたという、確かな情報を受けた。 彼らは、郵便局から苦情申し出の用紙を引き上げて、 (今と同様に) ウェブサイトからのダウンロードによってのみ入手できるようにし、 また苦情が正当なものであると判断されたならば返金されるかも知れない 料金を添えるように要求することで、これを達成した。
これらの手段は、即座に干渉の苦情の数を以前の水準の 1/10 に下げた。 その手段の影響が、実際の干渉問題の幾分かが 公式な注意を引くことができないようにさせるものであったかどうかの判断は、 読者に委ねる。
Pete は、どの技術が干渉の苦情を最も多く引き起こしたかを示して欲しいという Ofcom への私の求めに応じてくれ、 以下のものは、2007年1月から2009年5月までの31月間にわたる UK 全域でのトップスリーの罪人である:
Pete は、一般に、彼らの仕事は、 EMC に関して良くない設計が行なわれた結果としてではなく、 不適切な設置が行なわれた、かつ／もしくは 何らかの種類の故障を生じたデバイスからもたらされていると指摘した。
照明システム 252件の苦情 サーモスタット 223件の苦情 アンテナ・ブースター 197件の苦情
照明システムについて考えると、 それは UK に住んでいる人々と同程度 ――約6千万―― はある筈である。 これらの照明設備の多くは10年以上昔のものであり、 従って老化、損傷、故障などが、この技術を、 調査された31ヶ月の期間にわたる 252件の苦情、平均して月に 8件の苦情、 あるいは設置された100万の設備当たり月に 0.13件の割合の苦情となる 干渉を引き起こすという最悪のものとしたとしても意外ではない。
そのコラムの執筆の時点で、Ofcom PLT ウェブサイトは、 PLT に起因する 81件の苦情があったと言っていた。 ある雑誌がそれについての記事を掲載するまで、 Ofcom は 2008年 8月より前には PLT についての苦情はなかったと言明してきた。
PLT についての 81件の苦情全ては約 10ヶ月の期間のあいだに到着し、 平均して月当たり約 8件の割合の苦情となる ―― 最悪のケースの犯人、照明システムと同程度に悪い。 だが、当時、423,000台のみの BT Vision 製品が販売されており、 その期間の初期には遥かに少数の製品が販売されていたことを無視し、また BT Vision の顧客全てが PLT ユニットを使っていたと仮定すれば (そうではなかった)、 設置された貪欲な PLT 製品 100万台当たり月に 18.9件の苦情という結果となる。 (実際の値は大幅に高くなるであろう。) 従って、貪欲な PLT からの苦情の割合は、 既に Ofcom の最悪ケースの干渉源である照明システムの 少なくとも 145倍に達していると言うことができる。
この非常に高い割合の理由は、PLT についての干渉の苦情は全て、 他のテクノロジ全てについての苦情の大多数の原因である 老化、損傷、故障、不適切な設置などによってではなく、 意図的に設計された高レベルの主電源エミッションによって 引き起こされているということである。 (PLT ユニットを不適切に設置することはほとんど不可能である ―― それを主電源ソケットに挿し、Ethernet ケーブルを挿すだけである。) Ofcom の 9月の PLT Update は、苦情の総数は 143件となったと言っている。 これは平均で月に 11件の割合の苦情となり、 苦情の割合が増加していることを示す。 執筆の時点でこれは実際に月に 14件の苦情に達しており、貪欲な PLT を UK 全体で最悪の干渉を引き起こすテクノロジとしているものと理解している。
Ofcom の苦情率全てが一定である ――使用されている PLT 製品の数は急激に増加しているのでそうはならないだろう―― と仮定すれば、PLT の苦情は 18ヶ月程度のうちに Ofcom の 苦情の多いテクノロジーの全期間リストのトップに上がることだろう。
その時でも、Ofcom はその苦情の水準は問題がないことを示すと主張するであろうか？ BT Vision の販売目標は、2010年に 300万台の製品を販売することである。 この販売目標の達成は、月に 57件の割合の苦情を暗示する。 そして、全ての人が照明システムを使うように、 UK の全ての人が貪欲な PLT を使えば、 Ofcom の苦情率は月に 1,140件程度となることだろう。
だが、その時、その問題はナショナルメディアで大きく取り上げられ、 苦情率はおそらくはこの予測の 10倍、あるいはそれ以上となることだろう。
彼は、アマチュア無線家や短波聴取者が BT Vision (顧客がコンピュータからテレビまで 不体裁な Ethernet ケーブルを引かなければならないことを避けるために 貪欲な PLT を同梱してる) の 423,000人の所有者の一人の 150m 以内にいることに気付く可能性の計算のみに基づいて議論を組み立てた。
従って、Ofcom の苦情数のデータは、 彼らが主張するように貪欲な PLT が適合であることを示さず、 その逆のことを示す！ Ofcom の苦情のデータは、実際には貪欲な PLT 製品が 100% 確かな干渉源、 あるいはそのようなテクノロジが時に呼ばれるように「ジャマー」であることを示す。
まとめると、貪欲な PLT 製品からの干渉の苦情の少なさは、 そのような製品が EMC 指令に適合するという主張のために正当に用いることはできない。
従って、9月の Ofcom PLT Update の結論は、完全に誤りである。
[2] EMC Directive, http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/site/en/oj/2004/l_390/l_39020041231en00240037.pdf
[3] Richard Marshall,
"Headroom for PLT: is it necessary? Signal/Noise ratio considerations for PLT)",
The EMC Journal, Issue 81, March 2009, pages 30-31,
http://www.compliance-club.com/PLT/Richard%20Marshall%20EMCJ%20Issue%2081.pdf
PLT のための余裕： それは必要か？ ―― PLT における S/N 比の考察
[4] See the Editorial: "Call it what you like...it still interferes with the Radio Spectrum", The EMC Journal, Issue 83, July 2009, page 5, www.theemcjournal.com, and the UK Government's Digital Britain site: www.culture.gov.uk/what_we_do/broadcasting/5631.aspx/
[5] Tim Williams, "RF Emissions of Powerline Ethernet adaptors",
The EMC Journal, Edition 82, May 2009, pages 15-18,
http://www.compliance-club.com/PLT/Tim%20Williams%20EMCJ%20Issue%2082.pdf
電力線 Ethernet アダプタのエミッション
[6] Keith Armstrong,
"Absence of proof is not proof of absence",
EMC Journal, Issue 78, September 2008, pages 16-19,
www.compliance-club.com/pdf/Issue78.PDF
証明の不在は不在の証明ではない
[7] Richard Marshall, "BT Vision; the radio interference iceberg",
The EMC Journal, Issue 83, July 2009, pages 22-24,
www.theemcjournal.com
BT Vision: 無線干渉の氷山
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2009-11-12