バナナの皮 ― XIX

欧州の鉄道オペレータがラジオ放送局の近くの軌道における問題を抱えていた。特定の種類の機関車がそのラジオ放送局の近くを通過すると、その主幹ブレーカが開き、それを停車させた。駆動モータ内の温度センサがその無線信号を拾っていたことが判明した。それらのセンサへのケーブルは遮蔽されていなかった。それらのセンサはモータの巻線内に取り付けられていたため、これに対する変更は非常に高価なものであった。選択された解決策は、その信号が所定の限度を超えた時にその制御装置がアクションを起こすまでの時間幅を延ばすことであった。そのシステムの熱応答の長い時定数のため、この解決策は許容でき、また充分なものであった。
(Jennifer Cortese, Melbourne Australia, December 2000)
私は地下室のディーゼル・エンジン (病院の非常用発電器の一部) の油だめを外し、そのベアリングをいじっていた。そのエンジンと地面とのあいだには部屋はいくつもなかった。そのディーゼル発電器は切られていた ―― これは、その制御パネルの「停止」押しボタンが押され、その制御用 PLC の表示が停止状態を示していたということである。突然、そのディーゼルの起動用モータが動作し、そのエンジンは私の鼻先数インチでクランクシャフトを回転させながら動き始めた。極めて慎重に、私は地下室から抜け出した。私は、その原因が病院から呼ばれた「ブッシュ・タクシー」にあったことを見付けた。それらのブッシュ・タクシーは、遠く離れたブッシュの中でも基地との連絡を取れるように、極めて強力な無線送信器を持っていた。病院の入口でのその強力な送信器の使用は、その発電器の制御用 PLC に始動コマンドを受け取ったと思わせるのに充分な干渉を引き起こした。
(Attendee at an EMC seminar in Sydney, November 2000.)
オーストラリアのある鉱山への 800万ドルの採掘機の建築の完了が近付いていた。その鉱山のオペレータは、それらの機械が自動式のものであれローカル制御を持つものであれ、そこから鉱山内の全ての機械に対する手動制御を行なえるようにするための中央制御室を持っていた。このため、その鉱山のオペレータは、彼らの制御室から専用のケーブルを引いてそれぞれの新しい機械の PLC の予備入出力に接続し、また必要なソフトウェア変更を彼ら自身で行なった。突然、我々がその機械の近くに立っている時、それは勝手に始動した。そうしている可能性はあったものの、幸いその時には誰も作業をしていなかった ―― しかし、その機械にはまだ潤滑油が入れられておらず、容易に壊れる可能性があったため、それでもそれは極めて深刻な問題であった。制御室から PLC へのケーブルやソフトウェアの変更に関して何ら特別な注意が払われておらず、それらの新しいケーブルへの過渡的な干渉が我々の機械を不意に起動させたことが判明した。
(A different attendee at an EMC seminar in Sydney, November 2000.)
私はカーペット製造業者向けの切断機を製造している会社を訪れていた。それらの機械は 5m の幅の非常に鋭い刃を持っていた。その刃の 5m 全体での良好な切断の達成は慎重な調整作業を必要としていたが、私は技術者の一部がこの調整作業に際してその刃の下に居ることに気付いた。私は、その制御パネル (安全クリティカル・タイプでない、安価な PLC を用いていた) がその調整作業に際して「シングル・ステップ・モード」にされていることにも気付いた。私はそれらの機械が勝手に始動したことがないかと主任技術者に尋ね、彼はそれが起きたことを知っていると言った。
(Keith Armstrong, February 2001)
私は [11月号の] 論説「Whose spectrum?」について一言言わざるを得ない。それは的を射ている。しかし、Charlie Trimble が適切に選択したリストへの追加として、私は UWB デバイスとヘア・ドライヤとには大きな違いがあることを示したい。もしヘア・ドライヤを遮蔽し、あるいはその電磁的エミッションをフィルタすることを選んだとしても、それは依然としてヘア・ドライヤとして機能する！もし、将来、UWB が (天よ我らを救いたまえ) その産業界がそうなることを夢見ているように歪められた規則を与えられ、その後にそれが大きな妨害で GPS を混信させることがわかったならば、２つの競合する産業界が対立するだけであり、技術的な対処方法はない。あなたの論説のスレッドを追って、もし我々がその帯域でのエミッタの先例があるという理由だけで UWB に FCC Part 15 の除外を与えなければならないとするならば、我々は正にスペクトラムでの「共有地の悲劇」に直面するであろう。
(Stephen Lazar of The Aerospace Corporation, writing to the editor of GPS World magazine, Page 6 of their January 2001 edition)
(編集者註：「超広帯域」無線通信デバイスは、周波数ドメイン・テクニックを用いる伝統的な無線とは異なってある送信を他のものから弁別するためにタイム・ドメイン・テクニックを用いており、スペクトラムの何 MHz、あるいは何 GHz をもを同時に占有する非常に短いパルスの列を使用する。それらの送信スペクトラムは比較的低出力の広帯域ホワイト・ノイズのように見え、それらの多数の影響はGPS からの弱い信号が混信させられる点までノイズ・フロアを著しく上昇させるものとなる。 1998年12月号の Banana Skins も参照されたい。同じ技術は、誰かの心拍を非接触で確認する、あるいは壁を通して人々を検出するなどといった、全てのことのために有用な「個人用レーダ」のためにも使用できるものである。将来、UWB についてもっと多くのことを聞かされることになるのは疑いない。)

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2001-04-08

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