バナナの皮 ― XIII

今年の初めに、私はロンドンの Paddington 駅で、鉄道 (Heathrow Express) で空港へ移動する旅客のための航空会社のチェック・イン・エリア (BA、American Airlines、及び British Midland が運用している) の扉のこのような掲示を見た：「機械へ干渉するので、この場所では携帯電話を使わないで下さい。」
(私はもっと詳しく知りたいと思った。私の憶測 ――乱暴な推測！―― は、それは、米国製の、 GSM 電話に対するイミュニティの試験が行なわれていないチェック・イン装置だったのだろうというものであった...)
(from Glyn Garside, Director, Engineering Services, Adept Technology Inc., San Jose, California.)
Warwickshire Trading Standards の Jim Rackham (Trading Standards の４人の EMC 専門家の一人) からの回答：もし携帯電話の使用が健康や安全に対する何らかのリスクを引き起こす可能性があるならば、その事業者はそれを使うためにではなくその施設に入る全ての人に警告する義務を持つであろう。より一般的な注意として、店舗は通常は「個人財産」であり、その所有者はその施設内でどのような行動が許容できるかの妥当な条件を掲示する権利を持つであろう。特定の環境において携帯電話が機器に干渉する可能性があるならば、それを使わないようにするのは妥当であるかも知れない ―― 機器によっては依然として規制以前の段階にあり得る。しかし、施設は保護要求に適合すべきであり、また CE マークの付けられた機器の近傍で携帯電話を使用できるのが妥当であるならば、その機器は当然その干渉に耐えるべきである。
Cherry Clough Consultants の Keith Armstrong から：ある大手 IT 企業の EMC 専門家は、彼らのコンピュータ・システムは、それぞれが 3V/m を満足する機器から構成されているにもかかわらず、 1V/m のイミュニティを達成しているだけであると語った。 1V/m は、近傍の金属構造からの反射がない状態での、高出力地域における GSM 手持ち型端末の周囲 5m と同等である。低出力地域 (あるいはスタンバイ・モード) で、反射がない状態では、これは周囲 7m となるであろう。この理由から、彼らは通常はコンピュータ・ルームでの携帯電話や携帯無線の使用を禁止している。
「ロボット戦争」のテレビ・ショーで使われたロボットが明らかに干渉による極度の影響を受けた。それらは、大抵はホビー用の器具を用いて、無線制御 (R/C) されていた。あるロボットが凶暴化して人を傷付けたすぐ後の「Robot Wars: Tip Swap: weapons idea centre」から抜き出したいくつかのコメントを示す。彼らが言っていた「フェールセーフ」は、有効な R/C が確立されている時以外にはロボットの全ての活動を停止させることが期待されていた。
(From Bill Armstrong of PC Help.)
(2000年1月8日、土曜) …… それらのロボットのフェールセーフは作動状態にあった。個人的に、私のワークショップで作られたどのロボットも問題を起こしたことはないので、極めて多数のロボットが無線干渉問題の影響を受けたことを奇異に感じた。 …… フェールセーフの疑問に対して ―― それらの大半は実際にはフェールセーフではなく、作動しない。 …… 市販ユニットの多くの共通の問題の１つはそのユニットが受信器からのパルス出力を検出しようとすることであり、これは通常の環境ではうまく動作するが、干渉がその出力に「スパイク」を引き起こす可能性があり (そして引き起こすであろう)、それを正しい信号であるとみなして停止させ損ねるであろうスタジオの条件ではそうではない。より高価なモデルの一部は、実際にそのパルス幅を計り、それが正常なパルス幅の範囲を超えたならばフェールセーフ動作に入る。
(1月9日、日曜) …… 私の意見としては、最大の安全上の問題はそのフェールセーフ・システムにある。私は、何年も 27MHz R/C カーを走らせていて、穏やかな RFI/EMI 条件においてさえも容易に制御が失われることに慣れている。大半の人々は、市販の RC 飛行機用フェールセーフ (小さいオレンジのもの) ――これは屋外の穏やかな EMI 条件で飛行機を飛ばしており、信号が完全に失われる (例えば送信器の電池切れで) 場合には良い―― を使っている。それは、「ロボット戦争」のような、大きな RFI/EMI 干渉が存在する条件に対処できることは意味していない ―― 我々が購入したフェールセーフを分解した時に、我々の電気屋は回路の単純さに笑わされた。それは干渉の大半をバイパスし、そのロボットを制御できなく (そして予期できなく) するであろう。 …… また、私はそのオーディションでのテストの方法も疑わざるを得ない。 …… 聞くところによると、そのテストでは単純に送信器の電源が切られる ―― そしてもし何も起きなければ、そのロボットは合格となる。しかし、そのオーディションは穏やかな RF の (すなわち小さな干渉の) 静かな倉庫で行なわれ、それを完全に非現実的なものとしたのではないだろうか？
(1月9日、日曜) …… 唯一の問題は、一部のロボットのフェールセーフが不適切であったかもしれないことである。それらが完全な入力を受けていたとしても異変を生じ得る手製の回路による多数の自家製のスピード・コントローラがそのショーで使われていた。たとえ (その R/C に) PCM が使用されていたとしても、入力とは無関係に充分に安定ではないリレーや自家製のインターフェース回路で制御されているものがある。おそらく、人々が彼らのモータや武器を制御している方法をより技術的に見る必要があるであろう。
(1月10日、月曜) …… 武器チャネルのフェールセーフの欠如は私を震え上がらせた ―― その武器チャネルが理由なく作動した時、私は一組のロボットの近くに居た。
(1月12日、水曜) …… このスレッドの前の方で言及されたオレンジのフェールセーフについての注意として ―― 私が調べたところ、それには２つの種類がある。 FS-1 (電圧低下モニタを持つもの) は見事に働くが、もう一方、FS-2 はロボットでの使用のためには適当ではない。かなり前に述べられたように、それは大半の干渉を通過させる。ラベルに印刷された番号を除き、それらの２つのユニットには外観上の違いはない。
(1月12日、水曜) …… 我々が出会った問題は、受信器が信号を見失った時、それが安全に停止するまでの 1.5秒間は最後の状態を維持する、すなわちその信号が失われてから 1.5秒間はそのロボットは最後に行なっていた動作を続けることである。

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2001-02-24

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