バナナの皮 ― II

カリフォルニアのロスアンジェルスの Hartman Products は、 1992年の Hartman Pro1600 ヘア・ドライヤーの欠陥に関して報告しなかったことに関する和解調停で、$60,000 の賠償金の支払いに同意した。 CPSC (アメリカの消費者安全機関) はこれらのヘア・ドライヤーはその ON/OFF スイッチが「OFF」に設定されている時でも勝手に電源が入ることがあると信じている。このドライヤーのヒーターは始動するが、そのファンは始動せず、潜在的に内部のコンポーネントが過熱して火災を引き起こす危険がある。
(Compliance Engineering May/June 97)
AA (アメリカ自動車連盟)、及び RAC は、1996年の出動のうちの 9000件前後は、リモート・キーが RFI によってブロックされたことによるものであると推測している。 AA のスポークスマンは、「今は、無線式のキーが標準となっている自動車の数が増えている。現時点で 9000件であれば、これ以降はどのような問題が起きるのだろうか？」
(Electronics Times 13th Oct. 1997)
最近、我々は新しいアイデアのエグゼクティブ・トーイのように見えるものを買った。それは非常に強力な磁石のベースとそれに吸着される多数のベアリング・ボールから成っており、美しい形を作ることができる。その時には、その磁石とオフィスの机は良い組み合わせではないことに気付かなかった。しかし、会計情報の入ったディスクが謎のように拭き消され、またモニタ画面が虹のような色になってしまうことにすぐに気付いた。今では、そのオフィス・デスク・トーイはデスクにいない時、そしてオフィスから充分に離れてのみ使うことができる。
(Letter from Michael Fell in 29 November 97 issue of New Scientist)
車椅子が FDA (US Food and Drug Agency) の特別な検討の対象となっている。数ヵ月前、この機関は、車椅子業界にそれを遮蔽し、またそのユーザーに干渉の潜在的な危険について教育するように命令した。 FDA は「電動車椅子の誤った非意図的な動作に関する多くの報告」を受けた後で動いた。それらは、近くで警察や消防の無線送信器が使われた際に車椅子のカーブや岸壁からの飛び出しを引き起こした、突然の始動を含んでいる。偶然にも、致命的な傷害は報告されていない。 (しかし、そのような干渉による骨折は発生している ――編集者)
(Compliance Engineering - European Edition September/October 1994)
1990年前後に、Alan Little は Camberwell の鉄道線の橋の下を借り、￡50,000 をかけて２層の録音／リハーサル・スタジオに改造した。 1991年11月まで、それはリハーサルや録音をする場所を必要とする新進のバンドに人気があった。その後、午前中に３つ、午後に３つのバンドが予約していたある土曜の朝を境として、災厄が発生した。そのスタジオの全ての機器やバンドのアンプが鳴り始めた。バンドとスタジオの係員は、最初は機器が故障したものと考えた。それから、その地域の他の鉄道の橋の下にある他のスタジオが互いに電話をかけ始めた。それら全てで同じ問題が発生していた。 Alan Little は月曜に British Rail に電話し、BR の技術者が来てそれを聞き、その原因は BR が設置した新しい信号システムであると言った。 BR はそのレールを通して電流を流して信号灯を制御している。列車がそのレールの上を走るとき、それはそれらを短絡し、列車の後ろの赤いライトを点灯させる。最近、BR は交流電流の使用に切り替え始めた。長いレールは高効率の空中線として振る舞い、強力な AC 磁界 (実際に、それは大半のスタジオの付近で 1A/m 前後であった ――編集者) を放射した。この AC はオーディオ周波数であり、1kHz～4kHz のトーンが用いられている。システムを外部の干渉から守るため、このトーンは複雑なものとなっている。主電源や接続リードからのピックアップにより、この効果はミキンシング・デスクを通して聞けた。それは電源の入っていないスピーカー (ケーブルが外され、その端子が短絡されている場合でさえも ――編集者) からも聞くことができた。それはアンプにエレキギターが接続された時に最悪となった。ギターのピックアップはスチールの弦の振動で変調された磁界を音に変換するように設計されている。それらは BR 信号システムからの磁界と振動する弦の振動によるものとを区別することはできない。
(Extracted from an article by Barry Fox in Studio Sound Magazine, June 1992)

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2000-10-22

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