バナナの皮 ― I

北海の産油量の増加に対処するため、スコットランドの Netherly と Balbeggie に 6MW 可変速誘導モータ・ドライブを備えた２つの新しいポンプ・ステーションが設置された。稼働を開始してすぐに、その地方の電力会社と電話会社は多数の苦情を受けた。地理的には、それらの苦情はこれらのドライブに給電する 33kV 架空電力線から 12.5マイルまでにわたる、集中した地域からのものであった。電力線から 4マイルまでの公衆電話にはほとんど使用に耐えないほどの雑音が入ったが、通りを渡ってすぐの加入者電話は比較的影響を受けなかった。他の症状としては、TV の同期ずれや、蛍光灯点灯回路の電源からの音などがあった。そのドライブは、電力業界の G5/3 高調波限度に従って設計されており、また適合していたが、この問題はそれがカバーしているよりも高い次数の高調波、実際には 100次 (すなわち 5kHz) までのものによるものであることが判明した。この問題は関係者全てにとっての悪夢となり、質問が政府レベルに上げられることで最大に達した。油ポンプ・ステーションのダウンタイムに対するコストが非常に高いことから極度に困難であったものの、対処のための EMC 作業が緊急に必要となり、実際に実施された。
(From a paper by M J V Wimshurst of Hill Graham Controls, High Wycombe and Allan Ludbrook of Ludbrook and Associates, Ontario, Canada.)
あるポータブル PC (CE マークが付けられた) を動かしたままで家屋の２階へ持って行くと、その時に風呂場の「電動シャワー」が使われていればそれを確実にオフにした。
(Personal communication in 1997)
1992年に、医療技術者が心臓病患者を心臓モニタ／除細動器に繋いで病院へ搬送していた。残念ながら、技術者がアドバイスを求めるために無線機の電源を入れるとその装置は停止し、その結果その女性は死亡した。分析は、救急車の屋根が金属からファイバーグラスに変更され、また長距離無線アンテナが取り付けられていたために、モニタ・ユニットが極度に高いフィールドに曝されたことを示した。その車の低下したシールドと強い放射信号の組合せは、その機器には厳し過ぎたことが証明された。
(An article in the Wall Street Journal reported in Compliance Engineering Magazine's European edition September/October 1994.)
ハイテクの (磁気) 猫用フラップの取り付けられた扉の近くのコンピュータが、 Windows が読み込まれ、あるいは Windows のアプリケーションが走っているあいだ、猫用フラップのラッチをがたがたと鳴らし続けた。
(From the New Scientist magazine, 7th May 1997)
Langley (米国) 空軍基地レスキュー管制センターは、その探索＆レスキュー衛星が 121.5MHz、及び 243MHz の遭難信号周波数での干渉を受けたことを報告した。干渉が問題となった地域は８平方マイルに及び、これはそれらの周波数の通常の緊急送信器が地上では１マイル程度まででしか検出できないために重大なものとなった。最終的には、この問題は架空電力線の劣悪な接続によるものであったことが判明した。
(From an FCC Field Operations Bureau news release, 1994.)
「HERO プロジェクト」における技術者の求人広告は、米海軍の電子戦術部門の副指令である Roland T Guilbalt 少将の、 砂漠の盾、及び砂漠の嵐の双方が、深刻な、また著しい EMI 問題の影響を受けたという発言を引用していた。現時点で我々はこれ以上の情報は持っていないが、これはハイテクの民生機器を軍事的状況で初めて酷使したことによるものと推測される。
(From EMC Technology magazine, 1993.)
主にパーソナル・コンピュータの使用の急激な増加によるロンドン地域での過度の主電源高調波が、 AC 電源ケーブル (テームズ川の下に敷設されているものを含む) の過熱を引き起こした。コンピュータが置かれているオフィスにおいては、蛍光灯に通常取り付けられている力率補償コンデンサが飛ぶことが次第にありふれたこととなっている (電気技術者は大抵は単に飛んだコンデンサを取り除く)。電源の高調波汚染の結果として、損傷を受け、また過熱した中性線、そして損傷を受けた電気スイッチギアが次第に多く見られるようになっている。アメリカにおいては、火災保険会社は、関係する会社の中性線ケーブルの太さが高調波電流の加熱効果に対して適切であることを確認しない限り、新たな保険を受けないように促された。
(Personal communications, January 1998)

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2000-10-22

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