「ラック」マウント機器において、
アメリカの NEMA タイプのプラグが使用されていることがある。
その電圧定格についての明らかな論点もあるが、より重要なことは、
このタイプのプラグではオペレータが危険な電圧に触れる恐れがあることである。
イラストにあるようなピンとイギリスのプラグの絶縁されたピンとを比較すれば、
このタイプのコネクタでは「オペレータ」の指の偶発的な接触が
いかに起こりやすいかに気付くであろう。
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論点を単純化するために、安全に関するいくつかの論点を分割し、 機器に主電源を供給する３つの基本的な方法がそれらにどのように影響するかを分析しよう。 我々は、外部のバッテリ−変換器や 他の電力源の使用に関しても検討する必要がある。
従って、我々にはその設置や使用が安全であることを保証するために 充分な情報を与える注意義務がある。 また、我々には、 「合理的な使用」、「予見可能な誤使用」、及び単一故障状態のもとで、 その機器の「オペレータ」が保護されていることを保証する注意義務もある。
多くの条件の中で、接地漏洩電流に注意を払わなければならない。 これは、「タイプ A」 (家庭用) コネクタを持ついかなる機器においても、 3.5mA 以下でなければならない。 恒久接続形機器や「タイプ B」 (工業用) コネクタで接続される機器は、 条件によってはこの制限を超えることができる。 この詳細は、個々の要素の接地漏洩電流の合計が 3.5mA の制限を大幅に超えることのあるシステム・インテグレータにとって、 特に重要である。
接地漏洩電流が 3.5mA を超える場合、 家庭用の「タイプ A」プラグの使用は禁止され、 工業用の「タイプ B」プラグを付けるか、 あるいはその機器は恒久的に接続されなければならない。 さらに、警告を追加し、またその配線は最小サイズの要求を満たさなければならない。
大半の用途においては、 主電源プラグを機器の一部として提供することが不可欠となるであろう ―― 明らかに、これは使用を意図した国に適合するものでなければならない。 アブノーマル試験が有効な過負荷保護を考慮したものであることを確認すること。 ヨーロッパの多くの電源は、16A のサーキット・ブレーカで保護されている。 その電源コードはその故障電流を流すことができるか？
「ラック」マウント機器において、
アメリカの NEMA タイプのプラグが使用されていることがある。
その電圧定格についての明らかな論点もあるが、より重要なことは、
このタイプのプラグではオペレータが危険な電圧に触れる恐れがあることである。
イラストにあるようなピンとイギリスのプラグの絶縁されたピンとを比較すれば、
このタイプのコネクタでは「オペレータ」の指の偶発的な接触が
いかに起こりやすいかに気付くであろう。
これには設置指示書が添付され、「ユーザー」ではなく、 訓練された、資格のある 「サービス」技術者によって設置されることが想定される。
ヨーロッパにおいては、 「サービス」の安全のための指示や警告を英語で示すことが許される： 明確で、的確で、かつ曖昧でない言葉を使うように注意せよ。 (この唯一の例外は、「サービス」の安全のための情報を 英語とフランス語で与えなければならないカナダである。) 機器が保護接地を必要とするならば、 その旨は指示書と機器のラベルに明記されていなければならない。
配線用端子はその用途に対して「適切」なものでなければならない；
イラストに示したようなものであってはならない
―― これらは明確にマークされていなければならない。
接続を行ない、工具を使用するための余地がなければならず、
また接続が正しく行なわれているかどうか
(例えば正しい端子に接続されており、銅の素線が端子間をブリッジしていないか)
を確認するための余地がなければならない。
機器は適切な切断デバイス、及び過負荷／短絡保護を含んでいるべきである。 多くの場合、最大短絡電流がどの程度に達するかを見積もることはできないであろう ―― ごく少数のもののみがそのために充分な保護を与えている。 従って、外部に設置しなければならない、 いかなる追加の保護、あるいは切断のためのデバイスについても、 その必要性を明確に示さなければならない。 我々は、「サービス」要員が正しい位置に適切なデバイスを取り付けるために 充分な情報も与えなければならない。 明らかに、設置技術者がこの情報を推測することを期待することは合理的ではない ―― その機器の制限について知っているのは我々設計者であり、 従ってその設置や使用が安全であることを保証するために充分な情報を与えることは 我々の義務であり責任である。
固定型電源コードの提供により、恒久接続型機器の場合に必要となる
配慮のいくつかを避けることができる
―― 同時に、これは慎重に考慮しなければならない別のいくつかの要素ももたらす。
端子へのマーキングや、接続方法の詳細な指示を与える必要はなくなる。 しかし、電源コードの耐張レリーフについて検討しなければならない。 これはしばしば見落とされるものであり、 適切なグロメットの慎重な選択と良い製造管理のみが適合性を保証するであろう。
電源コードが交換された時に何が起こるのかについても検討しなければならない。
明らかに、「オペレータ」が機器を分解することは想定しておらず、
損傷した電源コードの交換のためにその機器が我々に戻されることを想定している。
しかし、資格を持った「サービス」技術者が交換を行なうことは可能である。
安全性の維持を保証するために、
特殊な工具、圧着端子、あるいはその他の部品が必要か？
もし電源コードの交換が「合理的に予見可能」であるならば、
LVD のもとにおいて、
「サービス」指示や警告を与える注意義務を持つかも知れない。
このイラストでは、電源コードの交換のためには
特殊な圧着端子や圧着工具が必要であることは明らかである。
プリント板に実装された端子台はより良い代案ではないか？
この接続方法は製造者に大きな自由度を与える
―― そして、製品の詳細設計の開始に先立って、
より多くの点について検討することも必要となる。
取り外し可能な電源コードの使用は、 最小限の文書とユーザーへの指示により、 使用する国に応じてそれぞれの電源コードを提供することを可能とする。 これによって多くの国際企業の技術者の破滅のもとである 「カントリー・キット」の使用を避けることができるため、 これは大きな利点である。 しかし、我々はその機器がどこで使用されることがあるのかを より慎重に考慮しなければならない。 LVD は、安全性がどのように損なわれ得るかを考慮するように我々に警告するために、 「合理的な使用と予見可能な誤使用」というフレーズを使っている。
その機器は他の国で売られるか？ おそらくそうであろう。 もしあなたの会社が売らないのであれば、 輸入業者やシステム・インテグレータがそうするであろう。
他の電源コードで電源に接続されるか？ 他の国で電源を接続するのであれば、おそらくそうなるであろう。
どのような保護が与えられるか？ もし機器やその入力を保護するために 3A のヒューズやサーキット・ブレーカが必要であれば、 それは機器に含めるか、 あるいはその説明書と全ての想定される再販業者に示さなければならない。
保護がヒューズ付きの主電源プラグやコネクタの極性に頼っているか？ 憶えておくこと： 一部のヨーロッパのプラグには極性がなく、 ライブとニュートラルが入れ替わることがある。 もし短絡保護が主電源によって与えられる (典型的には 16A のサーキット・ブレーカ) のであれば、 そのライブ、及びニュートラルに インレット・ヒューズを取り付ける必要があるかも知れない。
従って、SELV 電源は「安心」である、あるいは 「機器が SELV から給電されるのであれば、 それは LVD に適合するであろうから、他に何もしなくても良い」 という誤った信念は追放すべきである。 そのような信念は誤りである。
これと似たものに、SELV から給電される機器は LVD の適用範囲外にあり、 従って製品安全性要求も免除されるという、別の主張がある： これも誤りである。 「安全ではない製品を市場に出すことは理性的なことか？」、 さらに「製品安全性についてのレビューや試験を行なわないならば、 どうすれば私の製品が安全であるとわかるのか？」 と自問してみること。
危険なレベルは、通常は 60V、8A、20J、及び 240VA と規定されている； しかし、この制限は国によって異なる ―― 「オペレ−タ」が触れられる最大のエネルギ−として、 50VA と 15VA という値も規定されている。 明らかに、設計を始める前にロ−カルな規定を調べることが賢明である。
SELVEL の使用は、規定された「アブノ−マル試験」の実施の 程度、複雑さ、そしてコストを低減するために重要である。
次の論文では、 内部電源やエネルギー源と製品安全の関連について検討する。
これは、Gregg Kervill 氏が UK EMC Journal 上で発表した文書を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: October 31, 1999