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低電圧指令について

by Ken Lawrence, Electrical Safety Consultant

翻訳: T. Sato


全ての電気機器は安全でなければならない

企業が安全でない電気機器の 使用、販売、レンタル、あるいはリースなどを行なったならば、 その企業は多くの法令や規制、例えば Health and Safety at Work etc. Act 1974、 Electricity at Work Regulations 1989、 Low Voltage Electrical Equipment (Safety) Regulations 1989、 Electrical Equipment (Safety) Regulations 1994、 Consumer Protection Act 1987、 そしておそらくは他の多くに違反することになるだろう。 それらの法令や規制への適合を履行しないことは、 重い罰金、あるいは投獄という結果をもたらす可能性を持つ。 これらの法令や規制の一部は、その機器自身の本質的な安全性よりも、 その電気機器の使用や電気の一般的な使用に関係する。

この記事は、あなたが製造/販売する機器が、 英国やそれ以外の欧州経済領域 (EEA) 内での使用のための 法的な要求に適合することを保証するために、 何をする必要があるかを明らかにしようとする。

現時点 (1996年) において、次のいずれかの場合に、 供給者は電気機器の供給を許されている:

  1. Electrical Equipment (Safety) Regulations 1994 の規定に完全に適合している、もしくは

  2. その機器が 1997年 1月 1日以前に市場に置かれたのであれば、 Low Voltage Electrical Equipment (Safety) Regulations 1989 の規定に完全に適合している。

1997年 1月 1日からは、市場に置かれる全ての機器は 上の 1994年の規制に完全に適合しなければならない。 英国内に限っては、1997年 1月 1日以前に供給網に出されていた機器は、 それが上の 1989年の規制に完全に適合する限り、市場に出すことが許される; これは EEA 内の他の国についても正しいかも知れないが、これは保証できない。 この変更に関する充分な警告が行なわれたこと、 また新しい要求は以前のものと似ているという事実から、 1997年 1月 1日の期限に間に合わない製品は少ない筈である。

Low Voltage Electrical Equipment (Safety) Regulations 1989

Low Voltage Electrical Equipment (Safety) Regulations 1989 は 1989年 6月 1日に強制となり、英国の法律に低電圧指令を導入した。 低電圧指令 (73/23/EEC) は 1973年 2月 19日に EC 閣僚理事会によって採択された。

これらの規制は交流 50〜1000V、あるいは直流 75〜1500V のために設計され、 あるいは使用される 全ての電気機器 (Appendix 1 に示されたものを除く) に適用される。

この規制の原則は、 人々、ペット、そして財産の安全を危険にさらさない電気機器のみを 欧州共同体の市場に出さなければならない、というものである。

電気機器は、次のいずれかの場合に この規制の要求を満たすものと推定されるであろう:

この規制の全文は HMSO から発行されている Statutory Instrument 1989 No. 728 に含まれている。 有用なブックレットの1つは Guide to the Low Voltage Electrical Equipment (Safety) Regulations 1989 であり、これは DTI の Consumer Safety Unit から入手できる。

Electrical Equipment (Safety) Regulations 1994

The Electrical Equipment (Safety) Regulations 1994 は、 改訂された低電圧指令を 英国法へ適用する。 この規制は 1995年 1月 9日に発効するが、 1997年 1月 1日までは完全な強制とはならない。 英国におけるこの規制の基本法は Consumer Protection Act 1987、 及び European Communities Act 1972 である。 この 1994年規制は 1995年 1月 9日に失効した 1989年規制を置き換える。 しかし、1994年規制に適合しない機器をカバーするために、 1989年規制はしばらくは関係し続ける (上を見よ)。

これらの規制は交流 50〜100V、あるいは直流 75〜1500V のために設計され、 あるいは使用される 全ての電気機器 (Appendix 1 に示されたものを除く) に適用され、 家庭用電気機器や労働環境での使用を意図した機器をカバーする。

この規制は「電気機器」をカバーする。 それらが電気機器であるとも考えられ、 かつ独立した品物として販売されるのでない限り、 コンポーネントなどはこの規制ではカバーされない。 例えば、機器の一部に取り付けられた電源それ自身は規制の要求に適合する必要はない (機器全体は、当然適合しなければならない) が、 もしその電源ユニットが独立したユニットとして販売されるのであれば この規制が適用される。

電気機器を供給する全ての者 (製造業者、権限を与えられた代理人、輸入業者、卸売業者、代理店、 小売業者のいずれであっても) は、 1994年規制の要求に適合する機器のみの供給を保証する法的な責任を持つ。 これを履行しなかった個人が責任を持ち、 即決裁判のもとに、投獄、罰金、あるいはその双方を課される。

この規制の原則は、 人々、ペット、そして財産の安全を危険にさらさない電気機器のみを 欧州共同体の市場に出さなければならない、というものである。

電気機器は、次のいずれかの場合に この規制の要求を満たすものと推定されるであろう:

この規制の全文は HMSO から発行されている Statutory Instrument 1994 No. 3260 に含まれている。 有用なブックレットの1つは Electrical Equipment Guidance Notes on UK Regulations であり、これは DTI の Consumer Safety Unit から入手できる。

一般的要求

欧州要求に適合するためには、 供給者はその製品が所定の供給電圧 (AC 230V) での使用のために設計されており、 それが Class I と Class II のいずれかの構造であることを確認しなければならない。 感電に対する保護を基礎絶縁のみに依存した電気機器 (Class 0 構造) を供給することは違反である。 米国やカナダ (そして日本も) の安全規格の一部は 危険な低電圧回路とのあいだに基礎絶縁を要求してるだけであり、 従ってそれらの規格によって試験された機器の 英国や EEA での使用は許されないことに注意すべきである。

製造業者がその機器を第三者のテスト・ラボで試験することに関する 強制的な要求はない。 その企業の権限を持つメンバー、あるいは権限を与えられた代理人が 適合宣言書を作成しなければならず、これは他の要求事項とともに その機器が適合する規格を含んでいなければならない。 その機器の安全性に疑義が示された場合に抗弁を行なう手段を持たないこととなるので、 企業が厳格な試験を行なわずに宣言書を作成することは無謀と言えるだろう。 該当する規格に従ってその機器の完全な試験を実施する設備をその企業が持つならば それが最良の選択肢となると感じられるかもしれないが、 完全な試験のためのその企業の能力に少しでも疑いがあるのであれば、 第三者のテスト・ラボでの試験を計画することがより賢明であるかも知れない。 NAMAS 認証を受けた任意のラボを使うことができるが、心の完全な平安のためには UK Notified Body として指名されたラボ (これらの試験所の完全なリストは DTL から入手できる Electrical Equipment Guidance Notes on UK Regulations に含まれている) の1つがより適当であるかも知れない。

「CE」マーキング要求

先に言明したように、機器が「CE マーキング」されていることは Electrical Equipment (Safety) Regulations 1994 の要求の1つである。 CE マークをカバーする要求は、 全てを満足しなければならない3つの部分から成る。 すなわち:

CE マーク

CE マークは、その機器が全ての関連する指令の要求に適合するという、 製造業者による目に見える宣言である。 製造業者は特定の製品にどの指令が関係するかを判断しなければならない。 我々は電気機器について議論しているので その CE マークは低電圧指令をカバーするであろうし、 おそらくは EMC (電磁環境両立性) 指令もカバーするであろうが、 検討する必要があるかも知れない他のいくつかの指令がある。 他の指令のいくつかは Appendix 2 にリストしてある。 低電圧指令と同様、他の指令のいくつかはまだ強制となっておらず、 移行期間があるかも知れない。 製造業者が関連する指令のいくつかを含めないことを選んだならば、 その情報は機器に付属する文書、注意書き、 あるいは指示書に示されていなければならない。

CE マークはその機器が全ての関連する指令 (上で言明したものを除き) に適合することを任意の執行機関に示すことを意図しており、 これによって EEA 市場へのアクセスを許される。 このマークは欧州の安全マークや品質シンボルではなく、 そのように思わせてはならない。

EC 適合宣言書

EC 適合宣言書 (Declaration of Conformity) は、 その CE マークの貼付された機器が 1994年規制の要求に適合する旨の、 製造業者、あるいはその権限を与えられた代理人による文書としての宣言である。 この宣言書は: を行なわなければならない。

この宣言書のコピーをそれぞれの製品に付属させる必要はないが、 製造業者かその代理人によって EEA 内で保管されなければならない。 その機器が安全性要求に適合していないことを疑う合理的な根拠があったならば、 その宣言書は執行機関による調査のために提出できなければならない。 合理的な期間内にこのコピーを提出できないことは、 Consumer Protection Act 1987 のもとで犯罪となり得る。

技術文書

技術文書 (Technical Documentation) は、 その機器の 1994年規制の要求への適合性の執行機関によるアセスのために 用意するものである。 この文書は、次のものを含まなければならない:

潜在的なインスペクションの目的のために EEA 内で保管しなければならない 関連する文書を集めることは製造業者の責任である。 それらの文書は、それが関係する機器の製造が打ち切られてから 少なくも 10年間は保管しなければならない。

試験規格

BSI 規格カタログを眺めれば、 いかに多くの英国規格、欧州 (整合) 規格、そして国際規格が 入手可能であるかに気付くであろう。 その全てが電気的安全規格ではないのは勿論であるが、 電気的安全性をカバーするものがいくつかある。 おそらく、主に労働環境で使うための全範囲の機器をカバーする規格で 最も良く知られているものは、BS EN 60950:1992 であろう。

この規格は IEC 950:1991 (第2版) に基づいて CENELEC (欧州電気技術標準化委員会) が作成したものであり、 「業務用電気機器を含む情報技術機器の安全性」と題されている。 この規格の利点は、それが IEC 規格 IEC950 に基づいており、 従って (理論的には) 世界中で承認されていることである。 他の国々はこの規格の使用を承認しており、 この IEC 規格に基づいた彼ら自身の国内規格を持っている。 例えば:

非常にマイナーな国による違いがあるものの、 上の全ての等価物は IEC950 と言葉遣いまでほぼ同一である。 唯一の例外は「Code 3 デビエーション」を追加しているカナダ規格である。 このデビエーションは、 製品がその規格の要求を完全に満たすことができない場合に、 カナダの製品をより低い水準の保護に落とすことを許している。 CSA22.2.950 の完全な要求を満たす機器は BS EN 60950 に適合するものと期待できるが、 より低い「Code 3 デビエーション」に対して試験された機器はそうではなく、 実際その使用は EEA 内では違法となるかも知れない。

EN60950 は非常に包括的な規格であり、 マーキング、取扱指示、接地、ヒューズ、沿面距離や空間距離、 配線、機械的強度、耐炎性、加熱の影響、電気的ストレス、故障状態、 電話網への接続などの要求をカバーしている。

Appendix 1 ―― 1989年、及び 1994年規制からの除外

これらの規制は以下のものには適用されない

Appendix 2 ―― 電気機器に影響し得る指令/規制

EMC 指令 (89/336/EEC)

英国法:
The Electromagnetic Compatibility Regulations 1992 (SI 1992/2372)
施行:
1992年 10月 28日
義務化:
1996年 1月 1日

機械指令 (86/392/EEC)

英国法:
Supply of Machinery (Safety) Regulations 1992 (SI 1992/3073)、 及び Supply of Machinery (Safety) Amendment Regulations 1994 (SI 1994/2063)
施行:
一般の機械: 1993年 1月 1日 (乗客用昇降機、及び安全コンポーネントについては 1995年 1月 1日)
義務化:
一般の機械: 1995年 1月 1日 (乗客用昇降機、及び安全コンポーネントについては 1997年 1月 1日)

通信端末機器 (TTE) 指令 (91/263/EEC)

英国法:
The Telecommunications Terminal Equipment Regulations 1992 (SI 1992/2423), amended and extended by SI 1994/3129 and further amended by SI 1995/144
施行:
1992年 11月 6日
義務化:
一般的な条項については 1992年 11月 6日

The Plugs and Sockets etc. (Safety) Regulations 1994 (SI 1994/1768)

Note: これらの規則は 英国国内規則であり、他の加盟国には適用されない。 それらは、英国市場に供給される製品にのみ適用される。

発効:
1994年 8月 3日 ―― 全ての標準 UK プラグ ("13 amp plugs") は、 認可されたいずれかの試験所の認証を受けた型式のものでなければならない
1995年 2月 1日 ―― 一次供給者 (すなわち、製造業者、もしくは輸入業者) は 英国市場に置かれる機器に適切なプラグを取り付けなければならない
1996年 2月 1日 ―― 他の全ての供給者 (すなわち、代理店や小売業者など) は 適切なプラグがあらかじめ取り付けた機器のみを供給しなければならない

Appendix 3 ―― 有用な文書

以下に示した文書の多くはこの記事の情報を得るために用いたものであり、 上で参照された主題の多くについてより詳しい情報を与えるであろう。


関連記事:
- 製品安全
- 低電圧指令 2006/95/EC への適合のためのガイド


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これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2001-11-19