[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]

自動車「e」マーキング： UK のジレンマ

by Geoff Hann, Automotive Test Engineer, SGS International

「e」マーキングの欧州への侵攻の継続に従って、 UK においては EU 自動車 EMC 指令はすぐに主要な要求とともに強制となる。これは、それらの指令への適合のための必須の認証を意味する。準備のできていない人々のために、Geoff Hann が、自動車分野のための電気製品や機器の UK の供給者にとって何があるかを示す。

2002年 10月 1日は、EMC が問題となる自動車へ搭載される全てのものに「e」マークを付けなければならなくなる、UK にとっての転換日である。現在、UK においては CE マークと「e」マークの選択の余地があるものの、 EU 指令群は欧州のその他の地域では既に適用されている。しかし、来年の 10月の変化が来れば選択の余地はなくなり、「e」マーキングが必須となるであろう。

産業界の前線を見続けている SGS の Chris Wood によれば、 UK の多くの製造業者は、その要求への適合のために必要となることに、あまり、あるいは全く備えておらず、行なうべき相当量の作業を持つ。「問題は、製造業者らがその転換点の深刻さを本当に心配していないことであり、私が何が水平線上にあるかを製造業者らに示さなければならなくなると、それは即座に驚愕を与える！」

少し検討すると、明らかにその特定の製品に依存するものの、「e」マーク認証を得るには、一般には 15日程度の試験と、その後にさらに認証の発行などのために 4～6週程度以上を要する。製造業者が VCA やテスト・ハウスに製品の「e」マーキング評価を行なってもらわねばならないことを考慮すれば、それは最初からマーキングの達成までを 4ヵ月以上に延ばし得る。これは、製造業者がこの指令への適合のための活動の開始までに使える時間を大幅に減少させる。

Chris Wood は、「来年のその日が来たならば、自己確認の逃げ道はない。自動車 EMC 指令の元に入る全てのものは、試験され、確認を与えられねばならない」と続けた。自動車分野の供給者にとっては、これは安価な部品でさえも「e」マーキングを必要とすることを意味し、これは試験の問題、そして勿論最終的にはエンド・ユーザーによって吸収されねばならない費用とを生じる。「既に、欧州の他の地域はこれらの指令の元での運用を行なっている」と Chris Wood は強調した。

今は、EU 内において何らかの車両で使用するためのコンポーネントの認証は、 N1 から M1 の車両分類については EU 指令 95/54/ec、２輪や３輪の車両については 97/24/ec、そして特に車両用保安システムに関係するものは EU 指令 95/56/ec でカバーされる。

これらの指令全ては、車両上で使用するためのコンポーネントの、 EU Technical Service ――UK においては Vehicle Certification Agency (VCA)―― による「e」マーク認証を求めている。

試験の実施を代行する権限を与えられたいくつもの指定テスト・ハウスを持つ VCA は、「e」マーキングのためのコンポーネント認証を得ようとする全ての企業のための最良のルートであり続ける。製造業者らは、何が要求されており、またどのように行動すべきかについて正確にアドバイスするであろう VCA に単に連絡することができる。その代わりとして、製造業者らは SGS のような VCA の認証を受けたテスト・ラボの１つにコンタクトすることもできる。

そのテスト・ハウスは、申し込まれた被試験コンポーネントやその変種の用法や用途に関する論議の後に、「e」マーク認証のために、予備試験か、あるいは変種をカバーした適合性試験のためのワースト・ケース生産サンプルの正当性の主張を提案するであろう。

SGS における自動車向け試験

EU 指令 95/54/ec ―― N1 から M1 の分類の車両

EU 指令 95/54/ec の場合、いかなるコンポーネントも２つの分類のいずれかに含まれるであろう。 STU は指定されたモデルの車両に取り付けられるコンポーネントをカバーし、 ESA は任意の車両で使用するためのコンポーネントをカバーする。指令 95/54/ec に対する認証の達成において、コンポーネントは Annex 7、8、及び 9 に対する試験の対象ともなる。 Annex 7、及び 8 は、それぞれ狭帯域、及び広帯域のエミッションに対する要求であり、 Annex 9 はイミュニティ要求である。

適合のためのエミッション試験は、水平と垂直の双方の向きのアンテナを用いて 30～1000MHz にわたって実施される。周波数のスポット・チェックも実施され、エミッションの全ての測定値が限度以内でなければならない。

イミュニティ試験は、30V/m で、20～1000MHz にわたって、 1kHz の 80% AM 変調を適用して実施される。コンポーネントはフリー・フィールド試験も受け、適合のためにはそれらは誤動作を生じてはならない。

EU 指令 97/24/ec ―― ２輪や３輪の車両

EU 指令 97/24/ec への適合に関しては、テスト・ハウスによって実施される手続きは 95/54/ec のものと極めて似ているが、 EMC はこの指令の Chapter 8 でカバーされている。

テスト・ハウスがある製品に対する適合性試験を完了したならば、そのコンポーネント、及び／もしくはその変種のテクニカル・ファイルとともに、最終的な認証のために報告書が VCA へ送付される。これは、Conformity of Production (CoP) と、その製造業者と連係しての VCA による評価とに関係する。この手続きが完了したならば、 VCA はそのコンポーネント、及び／もしくはその変種のための「e」マーク番号と証明書を発行する。

将来、もし試験された製品が変更され、あるいは何らかの方法で変化したならば、それらの変更は「e」マーク証明書の拡充と、引き続いての認証を必要とするであろう。これは、「e」マーク番号のための認証のための報告書やテクニカル・ファイルの送付に先立っての、適合性の証明のための再試験、及び／もしくは予備試験を伴うかも知れない

EU 指令 95/56/ec ―― 保安システム

車両用保安システムのための EU 指令 95/56/ec への適合手続きは原理的には指令 95/54/ec におけるものと似ているが、製品の追加的な保安性試験がある。 VCA 「e」マーク認証のためには、依然として CoP は必要であるが、それは指令 95/56/ec への適合とともにである。

保安用製品は、トランジェントをカバーする ISO 7637 と同様に、 EMC 指令 95/54/ec、及び ESD をカバーする ISO 10605 に適合しなければならない。もしある車両用保安システムが警戒設定や警戒解除のための無線システムを含むならば、 95/56/ec 「e」マーク認証の発行の前に無線認証も必要となる。

ある製品が、N1 から M1 の車両と同様、２輪や３輪の車両でも使用できるという状況があることに注意すべきである。そのような製品は EU 指令 95/54/ec と 97/24/ec の双方への適合を必要とする。

「e」マークと「CE」マークの二重のマーキングを必要とする自動車用製品については、適合の手続きは技術構成ファイル (TCF) ルートによるものとなり得る。これは、一連の EMC 試験と、それぞれの試験報告書を加えて作成されたテクニカル・ファイルとを必要とする。その後で、この文書は、CE の適用のための TCF として、必要な自動車の専門知識を持つ自動車 Competent Body に評価のために提出される。

*Part of brand new 30,000 pounds investment by SGS specifically for Automotive "e" marking test approvals*

SGS as a competent automotive test house, carries out pre-compliance, compliance and diagnostic testing. For EMC "e" marking, it provides a fully technical service covering compliance to EU Directives 95/54/ec and 97/24/ec for two and three wheeled vehicles, as well as for Directive 95/56/ec. The company's test capability portfolio also extends to 75/322/EEC agricultural or forestry tractors, ECE Regulation 10.02, 71/320/EEC Annexe X paragraph 4.6 and ECE Regulation 13 Annexe 13 paragraph 4.6 for braking systems. The company can also cater for anti-theft devices, ECE Regulation 18.02 paragraph 7 and ECE Regulation 97.
For automotive EMC, SGS capabilities include testing to ISO 7637 for transients, ISO 10605 for ESD, ISO 11452 for emissions and immunity and CISPR 25 for radiated and conducted emissions. As an MIRRC Thatcham approved test laboratory, SGS carries out Phase three testing for HGVs, LCVs, passenger cars and motorcycles, as well as the SCM Homologation Directive AA03 for passenger cars.
For automotive components, SGS certification services include vehicle security systems and devices including alarms, immobilisers and tracking systems, in-car entertainment systems including audio and video systems, as well as OE fitted and after-market products and components.
SGS provides a one stop test house for approval covering "e" marking, CE marking and safety testing for TCF approval as an authorised competent body. Its services also extend to automotive environmental testing covering vibration, atmospheric including salt mist, temperature and humidity including dry heat and cold, and testing for IP rating compliance.

Geoff Hann is SGS International's Automotive Test Engineer, based in Durham in the UK.
Contact Kevin Welch on +44 (0)20 9991 4884, visit the web site www.sgs.co.uk.

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2002-01-31