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バナナの皮 ― Issue 83

538. 干渉： フィールドからの報告

     このバナナの皮の内容は、 Ofcom のシニア・フィールド・エンジニアである Pete Alsop に 送っていただいたものの要約である。 Ofcom は、UK のラジオ、テレビ、 テレコミュニケーション (Internet を含む) に対する責任を持ち、 これらのサービスが干渉を受けないことを確かとすることがその一部であり、 苦情を調査してそれに対処することを仕事とする 35人のフィールド・エンジニアが雇われている。 干渉を止めることが彼らの誇りであり、 彼らはほとんどの苦情に成功裡に対処している。

     電話 (固定、あるいはセルラー)、ラジオやテレビの視聴、あるいは インターネット・サービスへの干渉問題を受けているかも知れないと考えるならば、 上記のウェブサイトの「How to complain」をクリックするか、 直接 http://www.ofcom.org.uk/complain/ へ行って欲しい。

     私は、干渉の苦情を最も多く彼や同僚のフィールド・エンジニアに与えたのは どのテクノロジであったかを Pete に尋ねた。 Ofcom のフィールド・エンジニアはその全てにも対処しているが、 私は同一チャネル干渉や隣接チャネル干渉、あるいは違法送信器には関心はない。 彼の回答 (2009年6月30日) は次のものである。

     2007年1月から2009年5月までの期間に干渉の原因とわかったものの おおまかな分類は以下の通りである：

     照明システム	252
     サーモスタット	223
     アンテナ・ブースター	197
     電源(スイッチモード)	82
     デジタル受信機	49
     IT機器	33
     モーター・システム	29
     点火システム	24
     ISM機器	5
     熔接器	1

     上のものから、干渉の主な2つの原因、そしてその他のいくつかのものが、 明らかにある種の放電が関係する広帯域干渉であることを見ることができる。 アークの原因はサーモスタットについては明らかであり、 干渉の苦情が冬季に増加する理由を説明する ―― より多くの人々がセントラルヒーティングを使用し、 ボイラーと部屋のサーモスタットの接点に電流を通す。

     PLT は Ofcom が苦情を受けて解決している新しいテクノロジであるが、 上記の確立されたテクノロジからの干渉のリストに含めるには 早過ぎると感じられる。 PLT についての Ofcom の最新の状況は、 www.ofcom.org.uk/radiocomms/ifi/enforcement/plt にある。

     私は、 低エネルギー蛍光管を用いた低電力常夜燈によって引き起こされたことがわかった 無線干渉の苦情に対処しなければならなかったことがある。 時々、内部でアークし始め、問題を引き起こしていたようである。 白熱電球も、しばしば、驚くほどの無線ノイズを生じ得る小さいアークを その内部で維持することだろう (通常は故障の前に)。

     OFDM テクニックを用いたデジタル地上波テレビ放送は 単一キャリア干渉にうまく対処できることから、 最近はアンテナ・ブースターの問題は減っている。 フィルタなしの安価なアンテナ・ブースターは (近傍の強い RF 信号によって過負荷となり) 所望のテレビ・チャネルに干渉する相互変調成分を生じ勝ちでもあり、 それがリストの上位にこれがある理由である。

     一般に、我々の仕事は、 EMC に関して良くない設計が行なわれた結果としてではなく、 不適切な設置が行なわれた、かつ／もしくは 何らかの種類の故障を生じたデバイスからもたらされている。

     時々、EN 規格のエミッション限度に達する、 あるいはそれに非常に近いエネルギーを放射している機器での問題に出会う。 例えば、最近、AM 音声通信に 125MHz を用いている空港から、 特定の場所での恒久的な干渉信号の苦情を受けた。 その発生源は、 建物の奥深くに置かれていた外部ビデオ・カメラが 制御スイッチ内のクロック回路から 125MHz を放射していた、 新しい Cat 5 ケーブル接続式 IP CCTV 保安システムが 最近設置された建物まで追跡された。 そのカメラは他のものに交換され、これが干渉を止めた。 だが、それは実際にはカメラの故障ではなかった ―― それ自身が干渉を発生していたのではなく、 単にその通過を許していただけであった。

     私の同僚と私のこれまでの経験のいくつかの例を以下に示す。

     • ライト・センサが TV 周波数帯で放射し、 ある UHF チャネルにパターニングを引き起こしているのが見付かった。 EMC 指令のもとでリストされた該当する規格に対して試験されたライト・センサは、 放射性エミッションと妨害電力の限度の双方を満足しないことを示した。

       そのデバイスは、帯域の上端の 157MHz で最大のエミッションを生じる、 10MHz の帯域幅のエミッション源を含んでいた。 妨害電力エミッション (EN 55014) 限度は、157MHz で 37.8dB 超過した。

       その放射性エミッションは、 限度 (EN 55022 Class B) を 157MHz で 31.4dB 超過し、 314MHz と 471MHz でそれぞれ 23.8dB と 8.7dB 超過した。

       その製造業者は EN 55014 への適合を主張したが、 この規格は特に家庭用器具、電動工具、そして類似の装置に適用される。 この規格は 300MHz まで試験するだけであり、 従ってその 471MHz (157MHz の3次高調波) のエミッションのスペクトルがある テレビ周波数帯を含まない。 試験は、1000MHz までをカバーし、従って UHF テレビ周波数帯全てをカバーする、 住宅、家庭、そして軽工業器具に適用可能な基本測定規格である EN 55022 (情報技術機器) を用いて行なわれた。 この規格はライト・センサー・デバイスのためにより適切であるとみなされた。

     • スプリアス・キャリアが キーフォブ車両アラーム／管理システムの RF レシーバを ブロッキングすることから自動車を始動できない多数の住民からの苦情を受けた。

       その信号は、433MHz 免許不要周波数帯で運用されるビデオゲームが組み込まれた 子供サイズのモーターバイクまで追跡された。 住民は、影響を受けた車両の近くのバイクのゲーム・ユニットを我々が停止させて その問題が解消されるまで、それを信じることができなかった。

       その RF ユニットは故障を生じており、所有者によって製造業者に戻された。

     • 1970年台、私は依然として古いミシンや真空掃除機を サプレッション・コンデンサの取り付けのためにばらしていた。 セントラル・ヒーティングの干渉は、 まずサプレッサを試すことによって解決され、 他の全てが干渉を止められなかった時には 劣化したサーモスタットが罪を負わされた。 依然として送信器高調波や他の受信機の局発からの 全ての形の電気的干渉に敏感でヘリンボーン・パターンを生じ勝ちな VHF 白黒テレビがあった。 真空管式発振器は今日の半導体よりも高い電力レベルで動作し、 冷却を可能とするためにシールドは制限される。

     • 1980年台後期に 4W AM CB 無線が出現し、 電話を含む全ての種類の電子器具の EMC 設計の著しい弱点を明るみに出した。 最悪の場合、影響されたテレビ・セットや HiFi アンプの スイッチを切ってプラグを抜いても突破が続いた。 オーディオ出力のトランジスタや IC は「鉱石検波器」として働き、 何ら追加の電力なしにスピーカを音響的に駆動するのに充分なエネルギーを生じる。

     • 1980年台に電子レンジが出現し、レンジからの低レベルの 2.4GHz を受ける 近傍のテレビ・チューナーの EMC の弱点を明るみに出している。 特定のチャネルで、 テレビの局発の高調波は電子レンジから IF 周波数だけ離れた位置となり、 レンジを使っている時にテレビの画面に特徴的なパターンを生じた。

     • 車両の点火系の抑制は改善されているが、一部の誤った自動車愛好家は カーボン・プラグ・リードを銅のもので置き換えることによって 依然として車両の EMC 性能を損ない、 受信が弱い時にテレビの干渉をもたらしている。 少数のアナログ的な白い斑点は無視できるが、 デジタル・テレビはあまり寛大ではなく、 ピクシレーションと音響の喪失はより大きな迷惑をもたらす。

       電動機やサーモスタットの製造業者は 徐々に設計に RF コンポーネントを含めるようになっているが、 その抑制は突然故障し、あるいは故障が過剰な干渉を生じる。

     • テレビのアンテナ・ブースターの設計は単純で安価なものであった ―― 高ゲイン、シールドなし、フィルタなし、そして広帯域。 多くの他の周波数での、 1GHz 以下の携帯電話、エアウェーブ通信 (例えば TETRA)、アマチュア無線、 CB と PMR (プライベート・モバイル・ラジオ) のため、 今はアンプの仕様はさらに重要となっている。 5つのアナログ・チャネルと6つのより弱いデジタル・テレビが複合したものを 過剰な高調波無しに増幅しなければならないので、 ダイナミック・レンジもより重要である。 また、マスト・ヘッド増幅器が故障した時、 それは容易に発振器となって近傍干渉を引き起こす。

     • リア・オブ・セットのアンテナ・ブースターは問題を引き起こし続けている。 ありがちなものの１つは、給電されたままの使用されていない増幅器である。 所有者は、良く理解しないまま、 緩んだ同軸ケーブルを見付け、空いているソケットにしっかりと挿し込む。 それはきれいに見えるが、発振器が作られており、 近傍のテレビやラジオへの干渉を引き起こす。

     • 433MHz の免許不要周波数帯で動作する低出力無線デバイスが 様々な用途で用いられているが、 少数が故障して持続的に干渉を引き起こすことは不可避である。

       例えば、自動車のリモート・ドア・ロックと同様、 コードレスの呼び鈴が 433MHz 近傍で動作させられる。 ある製造業者は呼び鈴を白いプラスチックのハウジングで囲まれた 灰色のゴムのボタンを押すように設計したが、 そのボタンのやや中心を外れた箇所が押されると、 プラスチックの覆いの下に引っかかり、呼び鈴に恒久的に送信させ続ける。 近傍の自動車のドア・ロックの受信機はキーフォブからの短い信号 (呼び鈴からの継続的なノイズに埋もれる) を受信できず、 従ってドアはロックされたままとなる。

     • ADSL ブロードバンドが生じる無線干渉は僅かであるが、 ワイヤレス・ルーターに給電する AC アダプタは、 多くの人々がそうしているように24時間7日間動かされた時には 3〜4年の推定 MTBF しか持たない。

       発生したある PSU 故障は、 MF と HF の無線周波数帯にわたる高レベルの広帯域バズ・ノイズを生じた。 皮肉なことに、そのノイズはシールドされていない電話線に容易に結合し、 故障したユニットの所有者の、そして近隣の ADSL の速度を顕著に低下させた。

     • 私は、テレビ受信に影響する干渉は デジタル・テレビの台頭によって変化していると推測する。 許容できる干渉問題であったもの、 例えばアークを生じているボイラのサーモスタットからの アナログ・テレビに影響する時々の１秒のバーストは、 より問題となっている。 その１秒のバーストは、デジタル受信機の処理時間のため、 より長い時間にわたる受信の完全な喪失として現れる。

     • 私が「決していかなるものも軽んじるな」の原則の例として引用するものは、 バースト的に生じる家庭でのテレビ干渉に関連する。 それぞれのバーストは一度に２〜３分で終わり、 その最初のものは午後7時30分頃に起きる。 その後、午後8時頃に第2のものが、そしてすぐ後に第3のものが続いた。 その後、さらに2つのバーストがある午後11時頃まで、 夕方のあいだは静かなままとなる。

       3人の幼い子供がいる家族が住んでいる 道路の向かい側の家が発生源であることがわかった。 その発生源は電池駆動の歯ブラシであったことがわかり、 バーストは、子供の就寝時間と、その後の両親の就寝時間と一致していた！

       1.5V の電池１個で動かされる何かが 100m 離れたテレビに 影響するのに充分に強い干渉を生じ得るとは考えないだろうが、 それらの歯ブラシはそうした！

     • 電気フェンスは、保守が良くない場合は特に、 いくらかの問題を引き起こしてきた。 長いワイヤの DIY での修理はアークを引き起こし、 かつてのアナログ・テレビでは微かな横線が見えただけかも知れないが、 デジタル・テレビの受信に大混乱をもたらす。

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2009-09-21

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