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バナナの皮 ― Issue 73

426. 変電所での障害

     断路器に関連するこの研究は、 南アフリカの Gauteng にある Eskom 275/88kV 開放形変電所である、 Brenner 変電所で発生した一連の障害に伴って着手された。 特に、変電所の通信室内に設置されている帯域幅測定器 (BME) が、 その度に 10秒程度の期間、障害を起こすことが気付かれていた。 その BME はその施設と国内管理主局とのあいだの マイクロ波通信リンクの重要な部分であり、BME が障害を起こすと、 このリンクの再確立のために 20〜30秒探し回る。 懸念のもう１つの理由は、BME がライン障害中に時々障害を起こすことであった。

     (Extracted from: "Testing Hypotheses Concerning the Flow of Common Mode Current in a Substation", CD Walliser, JM Van Coller, PH Pretorius and AC Britten, EMC Europe 2000, 4th European Symposium on EMC, Technologisch Instituut vzw, Brugge, 11-15 Sept 2000, ISBN: 90-76019-14-2.)

427. パトリオット・ミサイル・システムの干渉

     Wall Street Journal は、軍の調査官が、 イラク戦争中の、パトリオット・ミサイルが関係する、 ２機の味方戦闘機の墜落と３名の乗組員の死亡を引き起こした２件の良く知られた発射事故が、 電磁干渉を原因とするものであるかも知れない可能性を調べていると報じた。 Journal の報告によれば、調査官は パトリオット・ミサイル砲台のオペレータのマニュアル・エラー、 あるいはミサイル自身による誤りの双方を除外し、 今は、その現場での複数のミサイル砲台の極度に近い配置が、 システムの高出力レーダに干渉する上昇したレベルの EMI を もたらしたかどうかに焦点を当てている。 軍当局者は、パトリオット・ミサイル砲台は、 米国と英国の地上部隊の防衛のためにその戦争中に戦場で移動させられており、 時には互いに近く集められていたと認めた。 そして、全ての軍用システムは EMI に関して試験されているものの、 Journal は、ある情報源からの 「戦闘地域での放射の強度を見れば、 特有の環境が以前に再現されていたと言う人がいるとは信じない。 それは、非常に、非常に強烈だ。」 という発言を引用した。

     (Extracts from "Patriot Missile Systems may be EMI Susceptible", NEWSbreaks, Conformity, September 2003, page 48, www.conformity.com. Also see Banana Skin No. 299.)

428. 操縦士が乳児監視装置の送信を拾う

     CNN は、英国の Luton 空港に進入中の操縦士が、 最近、その無線で航空管制官の単調な声以外のものを拾ったと報告した。 報道によれば、当局は、 通常の通信周波数で拾われた泣いている乳児の声を追跡するために 12時間働いた。 彼らは、最終的に、空港の近くの家庭の乳児監視装置までそのノイズを辿っていった。 乳児の放送は新しいことではない。 我々は以前にも報告したことがあり (1997年 11月の Conformity を参照)、 またワイヤレス通信デバイスの増加に伴って ここ合衆国で我々自身の Federal Aviation Administration が 類似の事象の多数の報告を受け取っている。

     (Extracts from: "Pilots pick up Baby Monitor Transmissions", NEWSbreaks, Conformity, August 2003, page 88, www.conformity.com. Also see Banana Skins No. 225 and 299.)

429. 重要な自動車システムへの干渉

     ある自動車製造会社は、 CB 無線の流行は放送波の妨害以上のものを引き起こしたことに気付いた。 彼らは、CB が彼らの自動車の近傍で使われると、 集中ロックが作動し、乗客を車内に閉じ込めることを見出した！ もう少し深刻な報告では、別のプレスティージ・カーの製造会社が、 運用中の消防署の近くをその車両が通過するとエア・バックが作動することに気付いた。

     (Extract from "Critical Nature of EMC", Schaffner, Components in Electronics, May 2000, page 22, www.cieonline.co.uk.)

430. 運転手への携帯電話の脅威

     携帯電話メーカーと自動車製造業者は、 ハンドセットが自動車の安全エアバッグを膨張させ、 また自動ブレーキ・システムに干渉し得るというクレームを調査している。 Volvo がスウェーデンで行なった試験は、 自動車の電子系と無関係に動作している電話がエアバッグへの点火や 制御システムへの一時的な干渉を生じ得ることを示した。

     (Extracts from: "Mobile Threat to Drivers", Computer Weekly, August 12 1993, Page 1)

431. 1996年からの干渉の例
     • ある半水没式原油採掘プラットホームは、 衛星システムによる測位が携帯無線からの信号によって妨害された時、 施設外に移動した。 これは、ある相互接続ケーブルのシールドが良くないためであった。
     • パトロール・カーの集中ロック・システムが、 その移動無線が使われているあいだ作動する。
     • 車両のアンチ・ロック・ブレーキ・デバイスが ５マイル離れた無線送信器が高速道路を横切って送信する時に作動する。
     • コンピュータ制御のクレーンが 電磁干渉 (EMI) のために貨物を落とした時の、１名の死亡。
     • 工場でロボットが制御から外れた時の、２名の死亡。
     • 下水道を人が修理する時に有毒ガスを監視する携帯型ガス検出器の、 携帯無線がその近くで使われている時の誤動作。
     • EMI による、近接型デバイスの作動。
     • それが空港を通過する際の無線放射に影響されるようにした コンピュータ障害を後部機関車が生じた時、列車 (1995年 9月 18日 6:45、Birmingham New Street から London Euston への) が異常な動作をした。
     • おそらくは EMI のため、 取鍋が誤って加熱され、ダイキャストマシン操作員に火傷を負わせた。
     • おそらくは EMI のため、無線制御式クレーンが制御を外れた。
     • 電子ビーム溶接装置が無線送信に干渉する。
     • ３マイル離れた電車のため、コンピュータ支援描画システムが誤動作する。
     • 近傍のビルの油圧ポンプが、張力試験装置にエラーを引き起こす。
     • 近傍の建設現場における、 溶接されたパイプの品質のモニタのためのX線テクニックの使用のために、 ある高価なプロセスがシャットダウンする。
     • 近傍の蛍光灯照明が無線受信器の動作に影響する。
     • ある PC ネットワークが夕方に規則的に「クラッシュ」し、 近傍の蛍光灯道路照明の点灯によるものであることがわかった。
     • そして、明らかな理由なしに日内のランダムな時に IT システムがクラッシュした 北海採油プラットホームがあった。 そこでの問題は、そのローター・ブレードが巨大な Van Der Graff 発電機として働き、 着陸の際に放電される莫大な静電気を蓄積する、訪問するヘリコプターと同定された。」

     (Extracts from "Coping with the EMC Regulations", P Ridley, IEE Engineering Management Journal, April 2006, page 101. Some of these incidents have also been reported by others in other Banana Skins.)

432. ペースメーカーはスタンガンに影響されなかった

     Cleveland Clinic によって行なわれ、 European Society of Cardiology(R) によって Eurospace で公表された研究によれば、 TASER(R) X26 電子制御デバイス、あるいはスタンガンからの標準的な放電は、 埋め込み型ペースメーカー／除細動器のインテグリティに影響せず、 標準のノン・コミッティッド刺激モードにプログラムされた 埋め込み型除細動器 (ICD) のショックをトリガしなかった。 心臓病用デバイスへの電磁干渉の影響は長年にわたって懸念されており、 いくつかの例では、内部回路への損傷、過剰検出、検出不良、ペースの障害、 キャプチャの障害、選択位置表示器のトリガ、 そして不適切な除細動ショックを引き起こしたことが知られている。

     (Extracts from: "Study: Pacemakers Unaffected by Energy from Stun Guns", EMC News, Interference Technology, May 2007, www.interferencetechnology.com.)

433. 製紙所での電圧妨害問題

     製紙機械プロセスは、機械を通る紙シートの張力の正確な制御を必要とする。 Caledonian Paper の製紙機械では、 これは 23個の独立した DC 可変速デバイス ――サイリスタ点弧の制御の問題のために本質的に電圧歪みに弱い―― を制御することによって達成されている。 点弧角制御は電圧変化への追従に難があり、サイリスタの重大な損傷が起こり得る。 この損傷を防ぐために、 ドライブの電圧歪みへの敏感さに応じた設定を用いた、 ドライブをトリップさせる保護を備えることが普通である。 その製造業者は、Caledonian Paper のドライブを、 そのレベルを下回る数サイクル以上の妨害がトリップを引き起こすように、 90% で設計した。 その製紙機械が、平常時の 10% に過ぎない変化 (90% が残される) の、 そして 100ms に過ぎない電圧歪みに影響され得ることが確かめられた。 生産に影響したいくつかの事象は、 欧州規格 EN 51060 で述べられている電圧ディップの範疇に入るものに過ぎず、 崩壊を引き起こした事象の厳しさは IEC 規格 1000-4-11 (今は IEC 61000-4-11 ―― 編集者) で述べられている 機器試験規格のもとでの全てのあり得る妨害と比較すれば厳しいものではない。 だが、電圧歪み、そしてそれに関連する DC ドライブのトリップの結果、 その製紙機械は管理できない形で突然停止し、 特にそのワイヤやプレス部に対する高価な損傷を引き起こす可能性を持つ。 損傷の可能性と大きなダウンタイムの可能性はその製紙機械内で最大であるが、 妨害は工場の他の部分の、コーター、スーパーキャレンダー、そして補助的な機器のような、 異なった、だがより小さい損傷を受ける、その製紙機械の下流の活動にも影響し得る。 その状況は、比較的短い時間内に複数のインシデント ――例えば、特に数日の期間にわたる妨害の継続の後での、１日のうちに複数回の事象―― があると悪化し得る。

     (Extracted from "Special Feature: Electrical energy storage", IEE Power Engineering Journal, June 1999, pages 154 and 155.)

434. Wendy's レストランが衛星システムに干渉

     FCC の Kansas City オフィスは、 捜索救助衛星システム (SARSAT) が未知の発生源からの干渉を受けているという苦情を受けた。 SARSAT は、墜落した航空機や遭難した船舶の無線ビーコンの定位のために、 捜索救助チームが用いる。 FCC は、移動式方向探知機を用いて、 その干渉を Wendy's レストランのビデオ表示器 (おそらくは誤動作している！) まで追跡した。

     (From "FCC's CIB Fight Interference", Newswatch...EMC, Compliance Engineering European Edition, September/October 1995, page 8, www.ce-mag.com.)

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2008-02-09

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