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GTEM テスト・チャンバー ―― 実用上の側面

by Jonathan Hamilton, Megger Ltd

Figure 1: GTEM

ギガヘルツ TEM (GTEM) チャンバーは、EMC 界での敗残者である。それを所有している人達以外では少しの人が、それが EMC コミュニティの人々によって愛され、あるいは忌み嫌われていることを知っている。この記事は、その使用と用途についてのいくらかの実用上の情報を与えることを目指す。

GTEM は 1990年台初期に EMC 試験の舞台に現れ、半無響室の費用効果の良い代替として速やかに人気を得たようである。残念ながら、それは開放型試験サイト (OATS) と 3m チャンバーでの試験に関係する問題の多くを解消するものとして過剰に売り込まれた。このため、EMC コミュニティの多くの専門家がその特徴を撥ね付けた。だが、GTEM は EMC 性能の評価における有用なツールであるままである。

GTEM の概念の最良の説明の１つは、巨大な 50Ω ケーブルに入り込むことを想像することである。 GTEM は不気味な獣である ―― 横たわった巨大な金属のピラミッド。ピラミッドの先端には、エミッション測定やイミュニティ発生の機器を接続できるコネクタがある。その中には、セプタムとして知られている吊り天井がある。これは、同軸コネクタにその頂点が接続され、セルの後側で多数の抵抗の列に接続された、試験空間の上の金属板である。セプタムとエンクロージャのあいだの 50Ω 終端を構成するために、数千の抵抗が並列に、また直列に接続される。扉の内側を見てそれが 50Ω ケーブルの内側であると想像することは、素晴らしいアナロジーである。

Figure 2: GTEM の側面

下の Figure 2 の横からの断面を参照されたい。

このかなり大きい 50Ω ケーブルは、放射性のエミッションとイミュニティの試験とともに、伝統性イミュニティ試験を行なえうためのシールド・エンクロージャとして用いることができる。

GTEM には2つの主な利点があり、その最初のものは低いコストである。小型や中型の GTEM は、完全なテスト・チャンバーに投資するよりも著しく安価である。これは、3m チャンバーや 10m OATS で必要となる支出なしでの、現場の試験設備のの柔軟性を望む製造業者にとって、魅力的である。小型の GTEM セットアップと不可欠な周辺機器全てを含めたものは、 5万ポンドでお釣りがでるであろう ―― 大型のセットアップは 15万ポンドまでとなる。確かに相当の費用ではあるが、1日あたり1千ポンドほどの試験所、あるいは 3m チャンバーを作る遥かに高い費用と対比すれば、 GTEM はその対象となる市場にとって魅力的な製品である。 GTEM の使用の第2の主な利点は、放射イミュニティ試験のための、入力電力と結果的なフィールド強度とのあいだの効率的な結合である。これは必要な増幅器のコストを低く保つ。

Figure 3: 使用中の GTEM 750

GTEM は、様々な試験空間に合う、広範囲の寸法のものが入手できる。一般に入手可能なモデルは、750、1100、そして非常に大型の 1750 である。このモデルの数字はセプタムの高さを示し、従って最大の利用可能な試験空間についてのヒントを与える。

GTEM の欠点は何か？それはあなたが誰と話しているかによる。人によっては、それは最大寸法の制約内でどのような製品のフル・コンプライアンス試験にも使用できると言う。他の人は、GTEM はフル・コンプライアンス試験には適さず、良くてもプリ・コンプライアンスのツールであると言明する。内部寸法に伴う共振と機器のケーブルが、最も良く懸念される点である。

GTEM をどのように使うか？試験所を訪れたことのある人は、水平と垂直のアンテナ偏波での放射性のエミッションとイミュニティの試験に馴染みがあるだろう。その電界は常に垂直であるので、この手続きは GTEM では多少異なる。放射エミッションについては、機器は3つの直交する方向に置かれ、それらの読みが関係付けられ、その結果のグラフは実質的には OATS や伝統的なチャンバーでの掃引での伝統的な水平と垂直のスキャンの最大の組み合わせとなる。一部の専門家は、少なくとも4面、理想的には6面全てを RF フィールドに曝すと公言するものの、イミュニティについても機器は3つの向きで照射される。 EUT の監視はチャンバー内での場合と同様である。 GTEM の利点は、EUT の表示、あるいはインジケータを観察するための窓が設けられていることである。

GTEM は大抵は 1GHz までの放射エミッション試験、そして 2.7GHz までのイミュニティのために用いられるが、 CISPR 22 コンプライアンスの完全な能力を与えるように 6GHz までの全域で校正できない理由はない。 GTEM ユーザー・グループは、その機器の存在とほぼ同じ期間存在している。それは、いつでも専門知識を共有する準備ができている専門家達が参加する交流団体である。そのグループは、いくつかの CISPR 規格で参照されている GTEM 試験規格である 61000-4-20 の作成への強い関与を含む、多くの有用な機能を持つ。そのグループにはウェブサイト、www.gtemuser.org.uk があり、次の会合は 2011年4月 (日付はウェブサイトを参照) に開かれる。

謝辞

Figure 1 は EMC Hire Ltd の John Wombwell の好意による。 Figure 2 と Figure 3 は Measurement Technology Ltd の Howard Chetwin の好意による。

この記事の作成への支援について、 MTL の Howard Chetwin と RML の Richard Marshall に感謝する。

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2011-03-26