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CISPR 16 検波器 ―― 製品エミッション規格における、CISPR 平均値検波、RMS―平均値検波器、及び APD 測定機能の適用

Teseq - Advanced Test Solutions for EMC

翻訳: T.Sato

要約

EMC 測定用受信機について CISPR 16-1-1 で規定されている検波器の変更を述べ、 CISPR 16-1-1 を参照する、 EMC 指令体制内の CISPR に基づくそれぞれの製品規格との関係を示す。

序文

CISPR、そして従って EN 規格に対する RF エミッション試験は、 必ず計測器が CISPR 16 に適合することを要求する。 基礎となる規格、CISPR 16-1-1 に対するここ数年の変更は、 それを参照する製品規格に波及するのにやや時間を要する。

従って、製品規格の計測器の要求が移行する期間がある。 このノートは、特定の製品規格に関する検波器の規定のタイムスケールを同定する。

2000年台初期には、計測器に対する規格は CISPR 16-1 第2版であった。 これは、2003年に、最初は4つ、後に6つのサブパートに分けるように再構成された。 測定器に該当するサブパートは、CISPR 16-1-1、 Specification for radio disturbance and immunity measuring apparatus and methods - Radio disturbance and immunity measuring apparatus: Measuring apparatus である。

CISPR 16-1-1 の古い、また新しい検波器

準尖頭値、尖頭値、及び平均値

これらの3つの検波器は、それぞれ CISPR 16-1:1999 §4.1、§4.2、及び §4.3 に現れ、 何年ものあいだ落ち着いていた。

最初の2つは、CISPR 16-1-1 §4、及び §5 に移された。

以下で述べるように、平均値検波は変更された。

CISPR 平均値検波器

妨害が一定していない時、 測定用受信機の読みはそれぞれの測定について少なくとも15秒観察される； 無視される、孤立したクリックを除く、最大の読みが記録される。 15秒の期間にわたって平均が適用されるならば、断続的な狭帯域妨害は抑制され、 あるいは少なくとも測定値が妨害の干渉効果に対応しないほど平均化されるであろう。 これは許容できないとみなされ、 このため CISPR 16-1 は §4.3.4.3 (CISPR 16-1-1 の §6.4.3)、 「断続的な、一定しない、そして変動する狭帯域妨害への応答」 を規定するように改訂された。 この改訂は包絡線検波の後のメーター時定数を規定する。 この改訂は 2002年に CISPR 16-1 に対する Am 1 として現れた。 この改訂の発行前に設計された受信機は、おそらくはこの時定数を満たさないであろう。 その影響は、低いパルス繰り返し周波数のパルス性の、あるいは断続的な妨害に対してのみ関係し、 この場合、測定される振幅は改訂前の検波器と比較して高くなる。

これらの2つの版の区別のため、改訂後の検波器は通常は「CISPR 平均値」検波器と、 初期の版は「平均値」検波器と呼ばれる。 だが、平均値測定を参照する製品規格は通常はこの区別を行なわない。

RMS―平均値検波器

CISPR/A/680/CDV、「デジタル通信サービスへの影響による干渉の重み付け」の序文から： 「アナログからデジタルの無線通信サービスへの移行が多くの分野で生じており、 依然として進行している。 この移行に、周波数範囲に関係するかも知れない、新たな検波タイプの導入が続くかも知れない： 1GHz 以上では、それ以下におけるよりもデジタル無線通信システムが一般的である。 これは、1GHz 以上の周波数範囲が新しいテクニックのために使用されているためである。 また、CISPR 16-1-1 は、 現在は 1GHz 以上での使用のためには尖頭値と平均値の検波器しか規定していない。 そのパルス応答は調査の結果と一致しないので、 重み付け検波器としての平均値検波器の使用には疑問がある； 尖頭値検波器は低いパルス繰り返し周波数の最小の影響を全く考慮しない。」

このため、新たな重み付けが提案された。 これは RMS 検波器 (コーナー周波数 fc よりも高いパルス繰り返し周波数について) と 平均値検波器 (コーナー周波数 fc よりも低いパルス繰り返し周波数について) を組み合わせた 重み付け検波器の使用によって達成され、 従って以下の特性のパルス応答曲線を達成する：

これは「RMS―平均値」検波器と呼ばれ、 以前の §7、「9kHz から 1000MHz の周波数範囲のための RMS 測定用受信機」を 「9kHz から 18GHz の周波数範囲のための RMS―平均値検波器を持つ測定用受信機」で 置き換えることによって CISPR 16-1-1 に導入された。 これまで製品規格はこの新しい検波器を使うことを避けており、 従ってそれは CISPR 16-1-1 に含まれてはいるもののまだ実際には使われていない。 だが、それは出版を控えている CISPR 13 第5版で代替手段として現れるであろう。

APD 測定機能

妨害の「振幅確率分布 (APD)」は、 「妨害の振幅が規定されたレベルを超える時間の確率」の累積分布として定義される。 それは、包絡線検波器の出力で、 あるいは RF 測定用受信機やスペクトラム・アナライザの後続の回路で測定できる。 妨害の振幅は、対応する電界強度や受信機の入力での電圧で表現される。 通常、APD 測定は固定の周波数で行なわれる。

APD 測定機能は測定器の付加機能となり、 測定器に付属、もしくは組み込まれるかも知れない。

APD 機能は、日本の国家委員会によって 1997年に CISPR/A に提案され、 結局は CISPR 16-1-1 の第2版で採用された。 製品規格はまだこれを参照していない。

これらの検波器に関する CISPR 16-1-1 に対する変更

CISPR 平均値検波器

これは CISPR 16-1:1999 の Am 1:2002 で採用され、 CISPR 16-1-1 のそれ以降の版全てで要求となってきた。 尖頭値検波器と CISPR 平均値検波器 (QP 検波器は違う) は、 第2版、CISPR 16-1-1:2006 で、9kHz から 18GHz の周波数範囲をカバーするために、 1GHz 以上まで拡張された。

RMS―平均値検波器

これは、第2版、CISPR 16-1-1:2006 の Am 2:2007 で採用された。

APD 測定機能

これは、第2版、CISPR 16-1-1:2006 で採用された。

CISPR 16-1-1 を参照する CISPR 製品規格の改訂

試験所の受信機が特定の版や機能の検波器を持つべき実際の必須の要求は、 その試験所が試験を行なう製品規格に依存する。 製品規格は、その「Normative references」の章で、CISPR 16 の様々なパートを参照する。 もしその参照が日付付きであれば、その特定の文書のみが使われる； それ以降の改訂や新しい版は無視される。 もしそれが日付なしであれば、最新の改訂、及び/もしくは新しい版が適用される。

欧州の体制では、CISPR 製品規格は直接には使用されない。 その代わりに、EU Official Journal (OJEU) で公表されたリストで定められた適用日とともに、 等価な EN の版を使用しなければならない。 それぞれの EN 製品規格はその後ろの方に CISPR の normative references を EN の等価な参照に置き換えた「Annex ZA」を含む; EN の参照の日付は、欧州指令のもとでの適用のために適当なものである。

従って、欧州指令のための製品規格における特定の版の計測器の適用の可否の判断のためには、 以下のことを考慮する必要がある：

また、勿論、必要な検波器は、 製品規格がどの試験を、どの周波数範囲について要求するかに依存する。

製品規格と検波器の要求の表

次の表は、CISPR 平均値検波器に対する要求の、7つの製品規格の欧州での適用日との関係を示す。 基礎となる CISPR とそれと等価な EN 製品規格の双方を考慮しており、 1つのケース (CISPR 13) では違いがある。 RMS―平均値検波器や APD 機能はまだこれらの製品規格では参照されていないことに注意されたい。

* Note: 欧州規格 EN 55016-1-1:2004 の dow (矛盾する規格の撤廃日) は 2007年9月1日である。 これは、この日以降はそれよりも古い欧州規格 (もしあれば) は使用すべきでないことを意味する。 だが、CISPR 16-1:1993 や :1999 を直接参照する EN 製品規格はこれに影響されるべきではない。

** Note: CISPR 22:2005+A1:2005 については、1GHz よりも下と上の双方について CISPR 平均値検波器が必要であると結論付けられるかも知れない； だが、その文書は、 1GHz よりも上の重み付け検波についてはスペクトラム・アナライザのビデオ帯域幅の低減のみを示す CISPR 16-1-1 (EN 55016-1-1) の第1版を日付付きで参照している。

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これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2010-06-20