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鉄道の EMC

by Jean-Louis Evans, Managing Director, TUV Product Service

翻訳: T.Sato


EMC 試験の進路を保つ

電磁干渉は、電気/電子機器が電磁妨害に伴って誤動作を起こす時に生じる。 実際、電磁両立性 (EMC) は、 「デバイス、機器、あるいはシステムの、 その環境のいかなるものにも許容できない妨害を引き起こすことなく、 その電磁環境内で満足に機能する能力」 と定義される。

EMC の管理と制御が良くなければ、極端な場合には鉄道網の安全に直接的な影響を持ち得る、 動作上の問題を引き起こし得る。 従って、信号や車両機器のような安全クリティカルなシステムは、運用導入に先立って EMC 適合性と健康/安全に関する要求全てに適合することを確かとするように 設計、製造、試験しなければならない。

EMC 指令

EMC 指令は 2009年6月に全面的に採択され、 その UK における施行規則は「EMC Regulations Statutory Instrument 2006 No.3418」である。

この指令の必須要求は、 機器が次のことを確かとするように設計され製造されなければならないと言明する:

EMC 指令のもとで、装置の製造業者は、技術文書を用意して維持し、 また通常は EMC アセスメントを実施しなければならない。 このプロセスに続いて、適合宣言書を作成して CE マーキングを貼付する。

この指令は「装置」を 「単一の機能単位として市販される任意の完成した器具やその組み合わせ」と定義する。 この指令は、「移動可能設備」と定義する、 移動して様々な場所で使用され得る大きな複雑な装置に対する EMC 適合要求も扱う。 これは、車両に対する適合要求は装置に対するものと同一であることを意味する。

規格への適合

装置の製造業者は、鉄道に関係する整合欧州規格 EN 50121 も考慮しなければならない。

これは、全鉄道システム ---車両、信号、そして通信装置、また固定電源の施設と装置--- の外界へのエミッションをカバーする5つのパートを持つ。

列車上、信号、そして通信で使用するための機器、そして電源装置は、 適切な規格に対して試験することで、これが適合の推定を与えるので、 EMC 指令に対する適合を宣言できる。

装置に対しては適合へのルートは1つしかない --- 内部生産管理による自己宣言。 技術文書の全体もしくは一部の評価に EMC 通知機関を関与させるかどうかは、 今は製造業者の判断による。

これは、製造業者が以下のことをすることを必要とする:

EMC 整合規格を全面的に適用できる装置については、結果的な EMC 試験報告書が EMC 指令のもとで製造業者が維持することが求められる技術文書の基礎を形成するであろう。 整合規格を全面的に適用できない場合 (例えば車両)、 実施できる限定的な試験とともに EMC アセスメントが必要となるだろう。

この規則の例外

理想的には、EMC 試験施設で EMC 試験が行なわれ、 適用可能な試験セットアップで確認されるであろう。 大きな、あるいは複雑な機器の輸送が問題となる場合、 製造業者の敷地か最終的な設置場所のいずれかで in-situ で試験できる。

鉄道部門で用いられているテクノロジの多くは確認や試験が行なわれており、 商用オフ・ザ・シェルフ (COTS) 機器として入手できる。 だが、これらは鉄道での使用のために規定されたものよりも低い EMC 性能を持つかも知れない。 従って、COST 機器が用いられる場合、 その機器が試験された規格と最終的な設置場所を最も良く代表する規格に対する ギャップ分析を実施すべきである。 ギャップが同定されたならば、適合を立証するために技術的論拠を使用できない限り、 追加の試験が必要となるかも知れない。

特注品のアプローチ

EMC 指令は、固定設備への恒久的な組み込みのために意図された特別な機器で、 他の形では市販されない、「特定の装置」に対する要求も含む。 この場合、指令は追加の文書化要求を含み、 そのような装置は CE マーキングや適合宣言書を必要としないであろう。

独特な考慮

車両は独特な電源特性を持ち、これらの低周波エミッションは信号に干渉し得る。

さらに、現代的な車両は通信/制御機器を大量に用いるので、 これらが確実かつ安全に働くことが不可欠である。

EMC 試験施設外での無線周波 (RF) イミュニティ試験の実施によって引き起こされる 健康上、安全上、そして運用上の問題のため、 新規の、また改造された車両に対するこの種の試験は行なわれない。

RF エミッション測定

RF エミッション測定は、実際的に可能な限り「自由空間」要求を満たす試験場所で、 線路脇で行なうべきである。 エミッション測定を停車した、あるいは低速で動く車両で、 そしてどのシステムを動作させて行なうかは、 考慮されている車両のタイプによって決定されるであろう。

改造や更新が行なわれたならば、車両の電磁特性も変わるであろう。 残念ながら、車両の相当の部分は「既得権」によって走行しており、 既存の EMC 特性は未知である。 従って、改造を行なう前に RF サーベイを実施し、 全ての改造が完了した後に追加のサーベイを行なうべきである。 これはギャップ比較を可能とするであろう。

文書化の複雑さ

鉄道産業は、古い安全クリティカル機器が より注文に合った新しい機器とともに動いているのが珍しくないほど 長い歴史を持っている。 従って、製品開発プロジェクトを通しての EMC の管理が文書化され、 関係者全てが事前に合意していることが、 全ての規制上の、また顧客の要求を満足させるために重要である。

試験は該当する規格全てに対して行なうべきであり、 これが可能でない場合、適合性がどのように達成されたかを確認するために 技術的論拠とアセスメントを行なうべきである。


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これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2010-06-20