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翻訳: T.Sato
青のテキストは 2009年9月2日の Ofcom 文書からの引用である。
2009年9月2日の Ofcom の PLT ステートメント (www.ofcom.org.uk/radiocomms/ifi/enforcement/plt/) は、何故それがスペクトラムの規制と保護を行なう者としての 目的に合わないのかの一番の例である。 ほとんど全ての行が、 それがあからさまな誤誘導、あるいは単なる侮辱でないとすれば、 偽りの、無関係な、あるいは歪曲された点を含む。 それからの引用を少し見ていこう...
「Ofcom は EMC 規制のもとでの執行の役目を果たしてきた。 Ofcom は、BT による Comtrend PLT 装置の供給からもたらされた EMC 規制の違反の申し立てを調査してきた。 証拠に基づき、 Ofcom はこれまで EMC 必須要求への違反があることを見出していない。 従って、Ofcom は現時点ではこれ以上の執行活動を行なわないことを決定した。」
だが、彼らが言っている「証拠」とは何だろうか？ UKQRM グループ (www.ukqrm.org) と RSGB による公式な苦情の中で提出された 技術的証拠のいずれについても、Ofcom は回答を拒否した。
聞いた限りでは、Ofcom は技術的試験を行なっておらず、 あるいは Comtrend PLT デバイス (Ofcom への PLT デバイスからの干渉の苦情全ての対象であるもの) をこれらの苦情で示された点について調査してもいない。
RSGB の苦情 (彼らのウェブサイト、www.rsgb.org で公表された) は、 Ofcom の PLT ステートメントの4週間前の7月31日に出された。 それは、実際にその手間をかけることができたとしても、 彼らがその証拠を詳細に検討し、回答を書くための時間としては充分とは言い難い。 それは、彼らがやらなかったことである。
実際、彼らの回答は、RSGB の苦情の2つの中心となる点に言及してさえいない。
これらの単純で明白な事実のいずれもが、 それらの製品を全 EU 市場から即座に引き上げさせるのに充分な筈である。 Ofcom はそうしておらず、 欧州単一市場と CE マーキングのプロセス全ての評判を損ねている。
「過去12ヶ月のあいだに、 Ofcom は、全て無線愛好家からの、独立した 143件の PLT 干渉の苦情を受け取った... HF 帯には、長距離航空／海上通信、防衛省、そして国際放送を含む、 多くのその他のユーザーがいる。 Ofcom は、これらのサービスに対する干渉の苦情は受け取っていない。」
Ofcom は、どうやら、無線愛好家からの苦情は 専門的な無線ユーザーからのものほど重要ではないと示唆しているようである。 もし専門家からの苦情があったならば、Ofcom は別の動きをしただろうか？ EMC 指令とそれに対応する UK の 2006 EMC Regulations はこのような差別を行なわず、 実際、EMC 指令の条項は、加盟国はアマチュア無線家を「電磁妨害」から 実際に保護しなければならないことを明白なものとしている。
専門的な無線ユーザーはまだ PLT からの干渉の苦情を持っていないかも知れないが、 彼らはそれが起きるかも知れないことをどのように懸念しているかを Ofcom に告げていたのは間違いないと思うことだろう！
歪曲については、Ofcom のステートメントは、 1年だけのあいだに彼らが受け取った PLT 干渉についての苦情の総数が、 既に、何年もにわたって積み重ねられてきた照明機器、サーモスタット、 そしてアンテナブースターに次いで第4位に入っていることに言及し忘れている。
彼らのステートメントは、彼らが PLT からの干渉の苦情を受けとっている割合 ――販売された100万ユニット当たりの―― が、 他のいかなるテクノロジからのものよりも遥かに高いことにも言及し忘れている。
「受け取った苦情とこれまでに得た証拠を評価し、Ofcom は、 現時点ではこの状況から生じる顕著な公衆の危険はなさそうであると判断した。」
おそらく、Ofcom は、2006 EMC Regulations の中で、 何かが必須要求に適合するかどうかの判断に際して 苦情の数が要因となると言っている箇所を見付けることができたのだろう。 そして、彼らは、専門的な無線ユーザーは 単なる愛好家よりも重要であると言っている箇所も見付けることができたのだろうか？
そして、「顕著な公衆の危険」のテストは、 EMC Regulations のどこで現れるのであろうか？ これらの論点のいずれも、それには何らかの意味があり、 PLT からの干渉の問題に何らかの適切さがある ――勿論そうではない―― という印象を伝えたいと望んでいる Ofcom の情報操作専門家の、 熱にうかされた頭の中以外のどこにもない。 Ofcom は、Comtrend PLT 製品の報告された 143件の問題の多くを BT に片付けさせた。 (BT は、顧客が部屋から部屋へ Ethernet ケーブルを引いて カーペットに見苦しい瘤を作らなくても良いように、 Comtrend デバイスを「BT Vision」製品にバンドルして販売する。)
だが、ポイントは、 これらの PLT 製品が EMC 適合ではない設計を持つという事実によって 干渉の苦情が引き起こされているということである。 もしその PLT デバイスがそもそも適合していれば、 どのような干渉も引き起こさなかった見込みが高かったことだろう。
「EMC 適合の機器が、特定の状況下で、依然として 他の無線通信機器への干渉を引き起こす能力を持つかも知れないことが認識されている。 これは、その設置や運用の状況に伴って生じるかも知れない。」
まあそうだが、これは無関係である。 これは、適合しているデバイスが、 無線受信器への干渉をたまたま引き起こしたという状況ではない。 Comtrend PLT デバイスは、 HF (短波) 受信器の近傍で動作させられた時に ほぼ確実に干渉を引き起こすような形で設計されている。
そして、「その設置の状況」に関しては、 どうすればそれがあり得るだろうか？ あなたがやることはそれを差し込むことだけであり、 これをどのように間違えることができるだろうか？
「PLT のための EU 整合規格があるか？ ない。 EU はまだこのタイプの装置のための適当な整合規格を公表していない。」
PLT のための特別な規格はないが、 PLT が既に EN 55022 でカバーされていることは全く明らかである ―― Comtrend デバイスはその伝導性エミッション限度を 30dB 程度超過する。 そして、「このタイプの装置のための適当な整合規格」 の作成に関しては、それは不可能であることが証明されたように見受けられる (後述)。
「他の製品のための既存の EU 整合規格は助けになるだろうか？ 既存の整合規格は、このタイプの機器を特に意図していないため、 限定的にしか助けとならない。」
さて、PLT デバイスは単にもう１つの種類の IT デバイスであるので、 情報技術 (IT) EMC 規格、EN 55022 は、(上述のように) PLT をカバーする。 だが、PLT 産業ロビーが望むものは、 他の全てのものが合法的に放射することが認められているよりも 1,000倍大きい無線周波ノイズの放射が、 単にある製品が PLT であるという理由で認められると告げる規格である。
もしそのような規格が作られたならば、他の強力な産業ロビーが、 彼らが主電源配電網に 30dB 多く放射することを許す 彼ら自身の EMC 規格を持つことを、極めて速やかに主張することは確実だろう。
結局、もし PLT 製品がこの高レベルのノイズを放射でき、 それでも EMC 指令への適合の推定を享受するのであれば、 なぜ彼らの製品は駄目なのだろうか？ そうすれば、彼らは電源フィルタを全て取り除き、大金を節約できることだろう。
「Ofcom は、このテクノロジによって生じる電磁妨害が その動作の不可避な副産物であり、 粗末な設計や生産に帰されるものではないと信じる。」
これは完璧に正しいステートメントである！ Ofcom が読者にアピールしたい形ではないだけである。
Comtrend PLT の設計は全く「粗末」なものではなく、 その生産もそうである。 双方は完全に満足できるように行なわれた。 それは単に、Comtrend の PLT 製品の設計が、無線スペクトラムを 干渉から保護するために要求される最大レベルの 1,000倍のレベルの信号を 主電源配電網に乗せることを意図しているためである。 従って、勿論、 「このテクノロジによって発生する電磁妨害は その動作の不可避な副産物」である！ Ofcom の情報操作専門家は賢いではないか？ 感銘すべきである！
だが、Ofcom はそのように賢い人々を雇っているというのに、 なぜもう少し有用な何か、 おそらくは無線スペクトラムを保護するという Ofcom の法的な義務に 寄与する何かのために雇わないのだろうか？
例えば、彼らの巨大で強力な頭脳を、Comtrend の EMC 適合宣言書が 完全なごまかしであることに気付くために使ってもよかっただろう。
「PLT のための EU 規格の策定は助けとなるか？
なる。 現在、試験とアセスメントは通常よりも広い技術的不確かさの背景のもとにあり、 この装置のヨーロッパでの使用は増加している。 そのような規格の策定は重要なステップとなろう。
その規格は、製造業者や通知機関が、 認知された基準値に対して性能を評価するために使用できるだろう。 もしその装置が当該規則のもとでの整合規格に適合すれば、 その装置が必須要求に適合するという法的な推定があるだろう。」
PLT デバイスのための製品規格を作ろうとする CISPR/I での進行中の作業があるが、 対立勢力 (PLT 製造業者 対 その他のほぼ全ての者) がそれぞれ独自の道を選び、 中道がないことから、大きな困難に面している。
PLT がエミッション限度の 1,000倍の放射を行なうか、 それともその限度に適合して動作しないか。
(最近の作業は、それらが EN 55022 で与えられた限度 (「CISPR 限度」) で放射して、 それでも市場の大半を満足させるであろうデータレートを達成できることを示したものの、 少なくともこれが PLT 産業がとっている確固たる立場である。 だが、PLT 産業は、ロビー活動に相当費しているので 望む通りのものを得られる筈だと信じているようである。 残念ながら、欧州委員会の運営の形態のため、これは全く合理的な確信である。)
いずれにしても、 「PLT のための EU 規格」は、 完全に非論理的である。 どの製品も、どの規格への適合を宣言する必要もない。 EMC 適合の目的での技術的アセスメントは、製造業者が適当と思うところに従い、 整合規格を用いることも、そうしないこともできる。 では、規格についてのこの大騒ぎの理由は何か？
Ofcom は、その電磁妨害は PLT デバイスの動作の不可避な副産物であると信じている と言明する ―― それは実際には不適合の告白である！ 彼らがこの基本的なポイントを理解していないようであるので、 Ofcom が実際に UK の EMC 規則の必須要求を読む手間をかけるように提案する ―― そうすれば、彼らは装置が単に他の機器、特に無線受信に干渉するように 設計／構築されることが許されないだけではないことに気付くであろう。
真相は、多くの人が言っているように、Comtrend 製品のような広帯域 PLT (「貪欲な PLT」として知られるようになっている) は、 不適当なテクノロジを使うということである。 それは故意に多くの電磁エネルギーを発生させ、 不平衡の遮蔽なしケーブル (すなわち屋内の主電源配電網) の 未知のインピーダンスへと結合させようとする。 どのような無線技術者も、それを災厄へのレシピと呼ぶことだろう。 そして、その通りである。
これが、「PLT のための EU 規格」 の作成についての大騒ぎ全ての理由である。 そのような規格は、それらがおそらく必須要求に適合できないとしても、 貪欲な PLT 産業が適合の推定を主張し、 彼らの (設計上) 酷くノイジーな製品に合法的に CE マーキングを付けることを 実質的に認めることとなろう。
ナンセンスと混乱の最後の一片：
「EU 委員会は EU 内の PLT の急増に伴う懸念に留意し、 CENELEC に PLT 整合規格の作成のマンデート (M/313) を出した。」
M313 は PLT デバイスの適合とは全く無関係である。 実際、それは特に除外されている。 その代わりに、M313 はデータ網全体の適合に関係する。
ここでも、歪曲。 あるいは、これは混乱だろうか？ いずれにしても、それは意図的にミスリードしている。 それは読者が網とそれに接続されるデバイスとの違いも言えないほど 無知であると仮定しているので、無礼、かつ／もしくは侮辱的でもある。
M313 は成功の兆候なしに10年間作業してきた。 最近いくらかの進展があったが、いまだに合意は遠いようであり、 それでさえも、根元的には、ほとんどの主電源網は EMC 指令よりも古く、 そもそもデータを運ぶ目的で設置されていないというだけの理由から、 多くの業界関係者がそれは PLT 網に適用し得ないと示唆している。
2009年9月2日の Ofcom の PLT ステートメントに含まれる、 歪曲、偽装、取り繕い、ごまかし、ナンセンス、そして (疑いなく) 多くの他の種類のくず全てに驚くべきだろうか？ そう、Ofcom は明らかにその目的に合っていないので、おそらくはそうではない。 その矛盾した役割のため、 我々はおそらくは何かをあきらめなければならないことを予期すべきであり、 PLT ステートメントは対立者間の調停に失敗した結果というだけである。
Ofcom は、放送、テレコム、そしてスペクトラム保護の、 見掛け上収斂している分野を監督する 単一の規制者としての役割を果たすために計画され、創立された。 スペクトラム保護に関する限り、Ofcom は密猟者と猟場番人の双方となることが求められる。 起こったことは、テレコムと広帯域 (スペクトラムの密猟の立場) が、 スペクトラムの適切な管理 (猟場番人の立場) に優先させられたということである。
UK の政府で長年働いている、 (明らかな理由から) 匿名のままでいなければならないある人が、 最近の個人的なメールで次のように書いた：
「Ofcom で働いてきて、私はそれがどのように働くかも知っている。 現在の政府によって創立されたそれは、 自らの両親を攻撃し、気に入らないこと全てを無視する、 抑制のきかない子供のようなものとなっている。 それは役者とテレコム・エコノミストに支配されており、 スペクトラム管理は最後となっている (多くのものの中の１つの事実： 彼らは、Radiocommunications Authority からその義務を引き継いでから、 EMC 執行／干渉要員を 60% 減らした)。 そして、全ての組織と同様、 それは誰にも責任を追わない自らの有効な情報操作機構を持っており、 最高責任者の双方自身が最低の情報操作専門家となっていることに気付くのも 驚くことではない！」
唯一の本当の、支持できる、賢明な答えは、 EMC 規制の義務全てを Ofcom から取り除き、 大きなビジネス上の関心に支配されることなく 無線スペクトラムの管理に焦点を当てることのできる、 別の、独立した規制者にそれを与えることである。
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2010-01-23