[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]
翻訳: T.Sato
ほとんどの建築家、ビル／施設設計コンサルタント、 電気設置業者、M&E 下請業者、 そして多くのシステム・インテグレータとカスタムの制御盤製造者は、 依然として EMC 工学の全てを無邪気に無視している。
だが、固定設備でのグッド EMC エンジニアリング・プラクティスを必要とする、 無視するのが非常に難しく、不可能であるかも知れない他の規格や規制がある。
大きな困難が予測され、これがこの注意喚起の理由である。
良い現代的な EMC 工学の１つの例 ――メッシュ接地接続構造―― を挙げるだけで、 ほとんどの者が、時に「スター接地」と呼ばれる、 「１点接地」の伝統に囚われていることに気付く。 メッシュ接地は良い EMC 工学テクニックの例であり、 両端で、そして時にはその全長にわたって終端されたケーブル遮蔽は、 １点接地信者の神聖な伝統では絶対禁止事項である。
１点接地の伝統は、良くない電子製品設計によって引き起こされた設置問題を 手早く克服するための方法として生まれたようである。 電子工学がまだ真空管を意味していた頃に遡ると、 設計者の一部は接地電位均等化電流が自ずと実際の設備を流れることを知らなかった。
従って、彼らは、ケーブルのシールドを回路の 0V レールに接続し、 テストベンチで最も手早く最も容易に結果を与えることをした。
もしそれが設置業者やユーザーにもたらしている問題について知っていたならば、 接地電位均等化電流が敏感な回路を流れて問題を引き起こさないように、 ケーブル・シールドをシャーシ、フレーム、 あるいは金属エンクロージャに接続したことだろう。 たまたま、ケーブル・シールドを シャーシ／フレーム／エンクロージャなどに直接接続することは、 EMC を最低のコストで達成することも助ける。
設計が不適切なこのような製品を設置業者が実際の設備で用いようとする時、 接地電位均等化電流は回路の 0V 構造の有限なインピーダンスを流れ、 ノイズ、通常はオーディオ・システムの主電源と関係するハムやバズや、 ビデオ・システムの「ハム・バー」を引き起こす。
勿論、接地業者は機器の設置に数時間しか使えないので、 手早くて汚いテクニックを見付けた ―― 一点接続接地構造を作るために接地接続を外す。 このプラクティスは年を経るあいだに美化され、 いかなることをしても避けるべき「アース・ループ」、 「グランド・ループ」、あるいは「ハム・ループ」として 接地電位均等化電流を悪魔扱いするようになった。 勿論、このプラクティスは主電源から給電されるそれぞれの機器が 安全接地への接続を１つしか持たないことを確かとし、 この冗長性の欠如は感電によって毎年数人が死に、 より多くが傷つけられることを確かとする。 だが、やあ、ハムは消えた！
一点接地は受け入れられたドグマとなったので、 多くの製品製造業者が 彼らの悪いケーブル遮蔽終端プラクティスが、必須でないとしても、 良いものであると信じるようになり、 悪い設計が良いものを駆逐する傾向となった。
ケーブルを流れる接地電位均等化電流がノイズを引き起こさないように 電子機器が設計された時 (作業は若干増えるが、全く容易である)、 どのような種類の接地構造でもうまく機能し、 安価な EMC 適合が最も容易に達成されることを一部の製造業者が再学習したのは、 EMC 指令の導入に伴う、比較的最近のことに過ぎない。
だが、全ての建築家、ビル／施設設計コンサルタント、電気設置業者、 M&E 下請業者、制御盤製造者、そしてシステム・インテグレータが メッシュ接地を正しく行なう方法を学び、 何十年もの一点接地の伝統に背を向けるには、 どれだけの努力が必要だと思われるだろうか？ そして、これは彼らが学ぶ必要があるだろう 多くの良い EMC 工学テクニックの１つに過ぎない！
そして、多くの製造業者、 特にこれまで EMC 指令への適合を無視してきた者が、 さらに電子機器を正しく設計することも学ばなければならないことを 忘れてはならない。
では、無視することが難しい他の規格や規制とは何か？
出発点としては、IEE 配線規則、BS7671 が、 17版のアメンドメント、あるいは 18版のいずれかとして、 EMC 要求を含むであろう。 これらの新しい要求は、 国家「電気設備規則」を EU 加盟国にわたって整合化させるための、 IEC 60364-4-44 §444 を実現するであろう。
UK のビル、プラント、そして施設は、法的に、 労働安全衛生規則への適合のため、BS7671 に適合しなければならない。
それが EMC 要求 ――必要な箇所でのメッシュ接地構造を含む―― を含むように更新された時、 それらは新規の電気設備工事全てで義務付けられるであろう。 新規の電気工事が IEE 配線規則とその新しい EMC 要求に従っていないことを 電気検査官が見付けたならば、証明書は発行されず、 その新しい設備は電源を切ったままにしなければならないであろう。
第２に、UK の主要で公共的な建物全ては、妥当な掛金で保険を掛けるために、 UK の雷防護規格に適合しなければならない。 だが、2008年8月30日、BS EN 62305 が UK で発効し、 これは施設の必須の雷リスク評価に 電子機器とシステムの損傷の可能性を含めることを要求する。
雷による損傷からの電子機器の保護は、実質的にメッシュ接地構造を作る、 「雷保護ゾーンの境界」を横切る箇所でのケーブル遮蔽の接地接続を含む、 多くの良い EMC 工学テクニックを必要とする。 従って、ほとんど全ての商業、経済、工業、そしてヘルスケア施設は、 事業を開始できるようにする保険を得られるように、 所定の良い EMC 工学プラクティスを電気設備で用いることを求められるであろう。
ほとんど全ての電気設備にすぐに要求されるであろう、 そして建築家、ビル／施設設計コンサルタント、電気設置業者、 M&E 下請業者、多くの制御盤製造者、そしてシステム・インテグレータと 電気製品製造業者に影響するであろう大きな変更についてのいくらかの理解を、 この短い注意喚起が与えることを期待する。
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2009-05-31