[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]
翻訳: T.Sato
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| Figure 1: EMC 適合の３つの主要な要素 |
大型システムの EMC 指令への適合性の実証の要求がある場合、 大きさの制約のため、全面的な EMC 試験を行なうことは困難となり得る。 従って、多くの場合、最終的な設置場所か製造業者の敷地内のいずれかにおいて、 部分的な EMC 試験が in-situ で行われる。 この種の部分的な EMC 試験によって与えられる限定的な情報のため、 その EMC 指令への適合の状況は Figure 1 に示す３つの主要な要素の組み合わせに強く依存したままとなる。
これらの３つの要素で与えられる情報とデータは、
通常は技術的論拠や技術的議論の中にまとめられ、TCF 全体の一部となる。
この記事はこれらの主要な要素の１つ、COTS 機器の適合性の主張を支持する
供給者適合宣言書 (DoC) に含まれる情報に焦点を当てる。
民生用 EMC 規格は４つの主なカテゴリーに分けられる： 基本規格、一般規格、製品群規格、及び製品規格。 製品規格、製品群規格、及び一般規格は限度やレベルを含んでおり、 これらは整合化され、OJEU で公表される。 基本規格は通常は試験方法を規定し、定義上、いかなる特定の製品とも無関係である。 基本規格は整合化される (例えば、EN 61000-4-X シリーズ) が、 OJEU で公表されず、その例外は EN 61000-3-X シリーズである。 【訳註 ―― 規定上、EN 61000-3-X シリーズは基本規格ではなく製品群規格とされている】
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| Figure 2: 典型的な COTS の供給者適合宣言書 |
だが、「基本」規格がリストされていないならば、 これはシステム・インテグレータに問題を与える ―― これらの規格の元でどの試験が適用されたのか？
例えば、EN 55024 は、 ポート毎にグループ化された 14種類のイミュニティ試験を規定している。 彼の機器の意図された電磁環境と COTS 機器の EMC 性能を比較するために、 システム・インテグレータは、 EN 55024 で規定された 14種類の試験のどれが適用されたのかを知ることが必要となるであろう。
理想的な世界においては、システム・インテグレータは
彼らの供給者の EMC 試験報告書へのアクセスを持つであろうが、
経験は、このような要求に対して
COTS 機器製造業者は通常は短い詫びを返すだけであることを示している。
だが、企業によってはこれを主張し、供給者に対して防衛線を張っている。
以下のケース・スタディは、
システム・インテグレータによって採用された２つの極端な例を与える。
企業 A は、供給者の決定の際に適合問題を軽く見ており、 発注に先立ってしっかりとした文書を要求していなかった。 彼らは、それが試験された規格の詳細、適用された正確な試験レベルと限度、 そして試験結果を要求することなく、 その COTS 機器は「全ての該当する指令に適合」していたという、 供給者の曖昧な主張を受け入れた。 勿論、供給者は結果を明らかにすることを喜ばないが、考えなければならないことは、 顧客に協力することを拒否する企業と取り引きすることが安全かどうかということである。
品物の受け入れは、CE マーキングの適合性を支持する文書、その製品の使用上の制限、 そして遮蔽ケーブル、追加のフィルタ、等々の対策の要求を確認せずに行なわれていた。
システム・インテグレーションを行なうようになると、 設計者はこの情報なしで何とかやっていた。 COTS 機器の EMC 性能が適切であったとしても、 ケーブルの種類、ケーブルの引き回し／分離、 ノイズ源からの敏感な要素の分離に関係する機器の配置と取り付けに留意した インテグレーションは重要である。
企業 A は、適合試験を行なう段になって、その怠慢の影響と、 COTS 機器供給者に要求すべきであった追加の情報に気付いた。
供給された情報は、ホスト・システムのレベルで評価すべきリスクを示す マトリックスに入れられる。 これは、EMI の発生源とレセプタ、特別な注意が必要な場所の識別、 計算、シミュレーション、あるいは推定による これらの重要なポイントの対策を見出すための詳細な評価、 設計と取り付けの規則とケーブルの引き回しの規定、 そして継続的な EMC の維持に関連する課題の概観をもたらす。
EMC 適合性に関してシステム・インテグレーションを改善するために、 企業は何をできるか？ まず、その要員が情報と経験を共有するようにコミュニケーションのラインを設けられる。 プロジェクト・チームが別々に、共通のプラクティスなしで作業する、 一部の大きなプロジェクト主導型の企業には、特に問題がある。 もし、あるプロジェクト・チームが、綿密で、効果的で、 成功した COTS インテグレーション・プロセスを採用したとしても、 おそらく他のプロジェクト・チームはそれについて知らないであろう。
次に、企業は後々の購入からの適合の課題の懸念を持ち得るので、 供給者から提供された情報を評価する手続きがあることを確かとする。 手続きは、例えば、どの文書 ――最低限、DoC に加えて設置指示書―― が作られなければならないかの厳密な規定、 そして試験規格、レベル、並びに限度が 対象システムに合っていることを確かとすることをを含むかも知れない。
時には、企業は、どれほど頑張っても供給者から適切な情報を得ることができないと結論し、 もうそうしないと考えるであろう。 この場合、それがどの程度良く、あるいは悪く設計され、組み立てられているかの、 COTS 機器の設計のランク付け体系と評価と共に、 規格間のギャップの分析が必要である。 このギャップ分析は、適合へのより円滑な道を達成し得る緩和手段を示唆するかも知れない。 疑問が残るならば、唯一の選択肢は納品された COTS 機器を試験することだけかも知れない。
その間接費は、専門家の支援を求めることによって最小化できる。 企業 A と企業 B の双方はそうした； 前者は問題が明らかであったために、 後者は COTS 機器について必要な水準の EMC 適合性を確かとする しっかりとした手続きが用意できているという確信を持つために。 専門的なコンサルタントは プロジェクトにコア・コンピテンスと経験をもたらす費用効果の良い方法であり、 このケース・スタディが示したように、 システム・インテグレータが COTS 機器の組み込みを管理し、規格ギャップ分析を実施し、 そして必要な場合にプロセスの改善を同定する計画を作ることを助ける。
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2007-01-10