[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]

EMC のための CB スキームの更新

翻訳: T.Sato

品物の自由な移動と技術標準の整合化のための EU のモデルは、良く機能している。 だが、その外にはより広い世界があり、US や極東のようなその他の主要な市場は、 安全、EMC 等々に関して彼ら自身の要求を持っている。 これらの地域、そしてその他の世界市場では、CE マーキングは受け入れられない。

Fig. 1: CB スキームの適用範囲

では、非 EU 国家への輸出に直面した時、製造業者は何をすることができるか？ 国際的な安全や EMC の規格に基づいた、 試験の反復を最小限に抑えることができる体制があるか？ その答えはイエスであり、その体制は Certification Body (CB) スキームである (Fig. 1)。

安全のための CB スキーム

現在、43ヶ国がこのスキームに参加しており、 さらに 29ヶ国が CB 試験証明書を受け入れている。 60 の NCB と、180 の CBTL が関係している。 現在、140,000 以上の証明書が有効であり、5000 を超える製造業者が参加している。

安全に関しては、CB スキームは、国際通商コミュニティを 「１つの製品、１回の試験、全ての場所での販売」の理想に近付けている。 それは、加盟国の国内規格が対応する IEC 規格に妥当に整合化され、 IEC 規格からの国家デビエーションが IECEE 事務局に公表のために提出されることに頼っている。

実質的に、CB スキームは、IEC の Conformity Assessment Board に報告する、 また Certification Body によって運営される Certification Management Committee (CMC) が管理する相互承認協定である。 このスキームの使用を望む製造業者は CB 試験証明書 (CB Test Certificate; CBTC) を入手し、 スキームの NCB メンバーは、それが要求を満足する限り、相互の試験報告書を承認する。

製造業者、あるいはその代理人は、 当該の IEC 規格に関する任意の Issuing and Recognising NCB に CBTC を申請する。 発行されたならば、その CBTC は、 CB 試験報告書 ――該当する場合には国家デビエーションに関する補遺を含む――、 そしてその NCB が要求するならば製品のサンプルとともに、 対象国の Recognising NCB に対する申請に添付される。 全ての手続きを遵守することで、対象の市場への扉が開かれる！

Fig. 2: 任意の市場アクセスの状況

CB スキームは、彼らの製品を参加国に輸出することを望む製造業者に著しい利益を提供する。 製造業者は、彼らが望む１つの NCB を選択して取り引きし、 その NCB と提携する１つの CBTL で彼らの製品を試験する ――対象国の国家デビエーションを含めて―― ことができる。 そして、彼らは、１つの NCB から入手した CBTC と CBTR を、 他の多くの加盟国の国家認証を得るために、 参加している Recognising NCB を通して使用することができる (Fig. 2)。

Fig. 3: 承認された CBTC の上位６分野

このスキームは、どのようにしてその信頼を維持するのだろうか？ CB スキームの現在の成功 (Fig. 3) は、ピア (peer) 監査プロセスの使用による、 重複したアセスメントの低減に基づいている。 ３年ごとに、それぞれの NCB と CBTL は、 他の NCB や CBTL のメンバーを含む、ピアのチームによる監査を受ける。 この方法で、試験のベスト・プラクティスと一貫性が確保されている。 このスキームのさらなる成功は、 特に IT とオフィス、電子、娯楽、家庭、照明、及び医療機器の製品カテゴリーに影響する、 世界中での NCB の試験報告書、証明書、及び／もしくは国家認証マークの広範な受け入れである。

EMC のための CB スキーム

ワーキング・グループは、所定の条件が存在するという仮定に基づいて、 EMC のための CB スキームのモデルを提案した：

• CB スキーム基本規則 (IECEE 01)、手続き規則 (IECEE 02)、そして運用文書が適用される

• 安全関連の EMC は、既に CB スキームの一部である

• 全ての国のための整合化された試験報告書フォーム (TRF) のセットが作成されるであろう

• 加盟 Recognising NCB は、 この整合化された TRF のセットを受け入れるように彼らの規制組織を説得できる

• EMC 試験、及び EMC TRF は、関連する安全規格によって要求されない限り、 安全試験と安全 TRF とは独立である

• EMC 試験証明書は、安全試験証明書とは独立である

• 試験証明書を伴う EMC TRF は、それが求められる場合には Recognising NCB を通して、 あるいは規制組織によって直接、国家強制マークが付けられる

• 既存の認定は、EMC の分野での所期の加盟資格と見倣されるであろう

• 安全の分野と同様の再評価プログラムが適用されるであろう

安全に関する CB スキームと同様、 EMC に関して提案されたスキームは IEC 規格の適用に基づくであろうが、 該当する場合には CISPR 規格も含むであろう。

CB スキームのスコープを非安全 EMC を含めるように拡大するという提案に対する反応を IECEE 加盟組織に尋ねるのに加えて、ワーキング・グループは、 現在どの対象国で受け入れ問題が存在しており、その問題は何であり、そして 整合化された TRF と証明書のセットがその現在の受け入れ問題の解決のために役立つであろうか といった点について、産業界の見解を調査した。

潜在的に、EMC 規格の国際的な受け入れに関係するスキームは、 現在、EU EMC 指令のもとでの CE マーキング、 US のための FCC 認可、カナダでは Industry Canada、フィリピンでは BPS、 イスラエルでは SII、メキシコでは MYCE、カザフスタンでは GOST-K、日本では VCCI、 マレーシアでは IRIM、その他、その他の要求に直面している、 輸出を行なおうとする者にとっての試験上の問題の多くを単純化する。

国家認証を得る必要はまだ存在するであろうし、従って管理上の重荷であるが、 70ヶ国へのアクセスを得るための１つの EMC 試験報告書のゴールは極めて魅力的に見える。 例えば、ある IT 製品については、安全と EMC の要求は、典型的には 安全について IEC 60950-1、エミッションについて CISPR22、イミュニティについて CISPR24、 それに加えて対象国におけるスペクトラムへの配慮をカバーする国家デビエーションに縮小され得る。

進展状況

Fig. 4: EMC のための手続き

だが、TUV Product Service が行なった CB スキームに関する最近のプレゼンテーションで、 疑問が出された。 どの程度の国が EMC に関する CB スキームを受け入れるであろうか？ ピア・アセスメントは EMC 試験所によってどのように見られるであろうか？ このスキームは規格の厳格な適用を必須とするか、 それとも、例えば、in-situ 試験が認められるであろうか？ EMC に関する CB スキームは、CE マーキングにどのように影響するであろうか？

Fig. 5: TUV Product Service が発行した CBTC

答えられないままとなっている、その他の多くの疑問がある。 だが、安全に関する CB スキームは、時間と費用を節約し、新しい市場を開き、 出荷までの時間を低減し、そして供給者とその製品に対する信頼を向上させる ワン・ストップ試験に対する製造業者の意欲を誘っている。 従って、市場要求は CB スキームのスコープを拡大する IEC の動きを促進させることが予期される。

EMC に関する CB スキームの新しい情報は、TUV Product Service のウェブ・サイト、 http://www.tuvps.co.uk で見られるであろう。

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2005-06-12