[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]
翻訳: T.Sato
| 製品 | 指令 |
|---|---|
| GSM 電話 | R&TTE |
| 玩具 | 玩具 |
| ホイスト | 機械 |
| 所期のラップトップ | EMC、及び低電圧 |
今日、より多くの製品やサービスが同一のネットワークを使用し、 単一のデバイスに集積されている。 日常の使用における融合技術の典型的な用途は、 ホーム・バンキング、インターネット経由のホーム・ショッピング、 可搬ワイヤレス技術を用いた自宅からの仕事、ウェブ・テレビ、組み込みの携帯電話を持つ PDA、 そしてテレビ電話、コンピュータ、テレビ、新聞、ラジオと音楽、GPS 等々を統合した 3G 携帯電話などを含む。 そして、無線制御の産業用ホイストは、通常の EMC と安全の課題が コロケーションと融合の干渉の考慮によって入り組んだものとなり得る、 そして該当する指令のいずれかへの不適合が深刻な傷害や死を引き起こし得る、 融合技術の産業分野における多数の用途の一例に過ぎない。
| 製品 | 指令 |
|---|---|
| Bluetooth トランシーバを含む GSM 電話 | R&TTE (双方のトランシーバ) |
| 無線制御のおもちゃの自動車 | 玩具、及び R&TTE |
| 工場用ホイスト | 機械、及び R&TTE |
| Bluetooth 内蔵のラップトップ | R&TTE |
融合技術の恩恵は、家で、仕事場で、そして移動中に経験されるが、 その発展は製造業者が単一用途の製品と比較して複雑で、拡大した、 そして費用を要する適合プロセスに出会う可能性を上げることに疑問はない。 さらに、融合のトレンドは近年急速に進んでいるのみではなく、 それは止めることができないものでもある。 従って、関連する適合問題は単一の規制上の改訂によっては解決されず、 将来は雪玉のように膨れあがるであろう。
この課題の複雑さは、欧州に限っても、 全範囲の電子通信をカバーする一貫した枠組の採用へ向けた進展は遅いことを意味し、 多数の規制団体から許可を得るという要求は著しいオーバーヘッドを生じる。 技術的な境界の希薄化の最も重要な結果の１つは、 その発展も広域的なものとすることをサポートする標準化を求める、 ネットワークやサービスのあいだの相互運用性を達成する目標を伴う サービスの広域化の進展である。
例えば、3G 携帯電話の事例を挙げると、その試験プロセスは、 EMC エミッション、及びイミュニティ試験、安全性評価、環境試験、 振動、及び極限電圧試験、RF 試験、数百のプロトコル試験、 機能試験、及び SAR 試験を含むであろう ―― 全ては個々の対象市場の要求のためのものである！ 欧州のための CE マーキング、USA のための FCC、 中国のための CCC 等々の法的な要求に加え、 試験は通常は欧州に於ける GCF、ネットワーク保護、 そしてローミングのような自主的な要求もカバーするであろう。
定義は重要であり、 定義は地盤となる技術、あるいは垂直モデルにあまり依存すべきでなく、 サービスの方式／内容や媒体のあいだでより水平に分割されるべきであるという、 Green Paper の示唆を後押しする。
例えば、ハード・ディスク・レコーダを持つセット・トップ・ボックスは、 該当する規格に関して異なった市場では異なって扱われるであろう。 普通の家庭用機器として、冷蔵庫／冷凍庫は家庭用機器のための規格でカバーされる。 だが、それがモデムを通してインターネットに接続されるならばどうだろうか？
統合された製品やサービスは消費者にとって喜ばしいものであるかも知れないが、 製造業者にとっては適合問題を生じるものとなる。
意図された用途も重要である ―― デュアル・バンド無線機は、 空港の公共駐車場の固定局として用いられた場合には R&TTE 指令に、 旅客をターミナルに運ぶ空港バスで用いられた場合には自動車指令に、 そして旅客をターミナルから航空機に運ぶバスで用いられた場合には おそらくは他のものでカバーされ得る。
無線制御のホイストの場合、どの規格が適用されるだろうか？ ホイストのための EMC 規格は 1GHz まで試験する； 無線デバイスのための EMC 規格は 10GHz までである。 製造業者は、双方の規格への、最も低いものへの、 あるいは最も高いものへの全面的な適合を目指すか、 それとも「ハイブリッド」ルートを用いるか？ 現在の考えは、 双方の規格が同一の周波数帯をカバーしている場合は適合は最も低いものを用いて、 ある周波数帯を１つの規格のみがカバーしている場合は その適合限度を用いて適合を達成することができるというものである ―― すなわち、1GHz までは最も低い限度で、そこから 10GHz までは無線規格で。
無線安全の面では、 無線機は受信機の人に対する影響に基づいて分類される３つのクラス ――それぞれが最低限の性能判定基準のセットを持つ―― を規定する EN 300 220-1 の 4.4.1節に対して設計されるであろう。 製品の故障が深刻な傷害や死を引き起こし得るので、 使用される SRD (単距離デバイス) 通信メディアの信頼性定格に基づいた リスク評価が必要となる。
一般的な安全の面では、 オリジナルのケーブル制御ホイストは EN 60204-32 に適合する必要があったが、 これは R&TTE 指令のもとでの整合規格ではない。 その無線モジュールは、重機械を意図していない EN 60950 に対して設計される。 結局、公式なアドバイスがないので、双方の規格で同定された全てのハザードを扱う 現実的なアプローチを採用しなければならない。
１つよりも多くの送信機を持つ GSM 電話に対する試験要求の検討は、 ２つ以上のものが同時に送信できるかどうか、アンテナ間の隔離、 そしてそれらがいずれかの周波数を共有するかどうかに焦点を当てるであろう。 どの限度が EMC の測定のために用いられ、 双方の試験は独立して行なうか同時に行なうか？ スプリアス・エミッションのために分離試験が可能、あるいは有効であるか？ そうでないならば、同時送信のためにどの限度を調べるべきか？ どのような相互変調成分が存在するか？ それぞれの SAR 測定結果の合計が限度内にあるか？ そうでないならば、全ての送信機を動作させて SAR を測定すべきか、 それともより複雑な計算を用いるべきか？ 同様の質問は、周波数がオーバーラップする場合にも生じるか？
駅のプラットホームでの使用を意図した、GSM モジュールを含む新しい飲料販売機では、 アンテナを顧客から充分に離してその後ろ側に付けるのは良いアイデアのように思える。 だが、列車を待つあいだその販売機に寄り掛かる乗客がいる可能性があるならば、 彼の頭とアンテナはどの程度離れており、また SAR の測定を行なうべきか？
開発段階の助言から製品のライフサイクル全体にわたって、 専門的な適合サービスは助けとなり得る。 生産開始の充分に前の、 異なった市場と規格のための結果の突き合わせによって 最悪条件をカバーし、不要な反復を回避した試験計画の作成において、 知識と経験が不可欠なことは明らかである。 適合証明書はより大きな市場受け入れを得ることを助け、 継続的な生産監査と製品確認によって不適合のリスクを最小限とする。
要するに、融合技術は以前の単純な製品と比較して適合性の検討内容を遥かに大きなものとする：
証明されたインテグリティ、規制と規格に関する広範な知識、 会議や作業部会への参加による最新情報の維持、 そしてワン・ストップ・サービスを提供する能力を持つサービス提供者の選択によって、 融合製品を市場にもたらす時間とコストは最小とし得る。
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2005-05-22