[ Home > 電気製品の EMC／安全適合性 > EMC+Compliance Journal より ]

GSM 適合性試験

by Stuart Graves, Senior Engineer, Samsung EURO QA Laboratory

規制や市場の要求への適合のために GSM ハンドセットを試験することは、繁雑なものとなり得る。携帯電話は既にかなりの期間我々とともにあるが、依然として追加の機能や動作モードの開発は続いている。最近開発された主な新機能には GPRS が含まれており、 3G についてはより多くのことが書かれている。以前の年の需要の大きな上昇の後、今は標準ハンドセットの販売は安定しており、 3G は移動通信技術の継続的な成功の鍵であると見られている。従って、設計から市場での受け入れまでの流れが可能な限りスムーズであることが重要である。これは、ある程度までは、試験規格と試験プラットホームが可能な限りすみやかに安定することに依存するであろう。

European Telecommunications Standards Institute (ETSI) は、パートナーシップ・プロジェクト (3GPP) を通して、それらの新機能の仕様を作成した。継続的に変更される一連の中核仕様に対して製品を設計することは不可能であろうから、それぞれがその前のものから機能を発展させたものとなる、多数の並行する仕様がリリースされた。そして、製造業者は、それらのリリースのいずれか１つを満足するように製品を設計する。その電話が設計され、組み立てられたならば、適合性試験の時である。明らかに相当の重なりがあるであろうものの、試験は、規制上の目的のために必要なものと、市場圧力によって動かされるものとに分けられる。

規制

欧州においては、携帯電話の規制上の要求を統制する規則は R&TTE 指令に含められている。これは 2000年 4月 8日から強制となっており、より厳格な TTE 指令を置き換える。この指令は携帯電話に対する必須要求を列挙しており、またカバーされる範囲として安全、SAR (specific absorption rate)、電磁環境両立性 (EMC)、及びスペクトラム割り当てを詳述している。委員会が後日適用を決定できる要求のリスト ――3.3条に含まれている―― もあり、これはハンドセットがネットワークと相互作用する能力を含む。 Official Journal は、指令への適合のための試験に用いる整合規格の一覧を与える。 EMC、安全、及び SAR に関する整合規格がある。スペクトラム割り当ては、EN 301 419-1、及び EN 301 511 でカバーされている。指令の 3.2条を満足するために合格すべき一連の試験を与える２つの規格がある。 R&TTE はネットワーク相互運用性は現在これを要求しないと述べているが、ネットワークに置かれた時に電話が設計された通りに動作し、害を与えたり貴重な資源を誤って使用したりしないことを保証するという市場要求がある。アメリカを例外として、これは GSM Certification Forum (GCF) と呼ばれるボランタリー・スキームでカバーされている。

GCF

GSM Certification Forum (GCF) は、世界中のオペレータ、製造業者、そしてテスト・ハウスから構成されており、 GSM 端末の世界的な相互運用性の保証のための独自のプログラムを確立するという目標とともに形成された。その GFF 試験体制は、フィールド試験と同様、 RF、プロトコル、SIM (subscriber identity module) を含む相互運用性の全ての面をカバーしている。ラボにおけるハンドセットの試験は、実際には、何百もの試験スクリプトを実行する小数の試験用プラットホームによって行なわれる。このプロセスにトレーサビリティがあることを保証するのが GCF の役割である。試験機器製造業者は、試験仕様で規定された通りに試験を行ない、彼らの試験用プラットホーム上で実行するスクリプトを書かねばならない。ある試験機器製造業者がこれを他と異なって解釈しないことが重要であり、さもなくばあるハンドセットがあるプラットホームでは合格するが他では駄目だという状況になるかも知れない。これが起こらないことを保証するために、それらの試験やプラットホームの検証の手段が何年もにわたって考えられ、改善されてきた。規制上の目的よりも遥かに多くの試験が GCF によって要求されているという事実のため、このプロセスがしっかりとした管理の元に維持されていることが重要である。 3G の導入に伴い、今はこの任務は困難になっている。より多くのプラットホーム上のより多くの試験があり、新しい機能が導入されるスピードを反映してその双方が継続的に変化している。

将来

GSM の世界的な成功のための鍵となる寄与の１つは、オペレータ、製造業者、そしてテスト・ハウスによって試験のための整合したアプローチの開発のために行なわれた努力であった。それは、同一でないとしても似通った試験体制を全てのハンドセットが通り、あるハンドセットが任意のネットワークで動作するであろうという信頼を顧客に与えることを意味してきた。様々なグループや委員会のあいだで行なわれたこの協同作業は、スムーズに市場に入るために 3G のためにも継続しなければならない。商業的な圧力が新しい機能を持つハンドセットを速やかに出荷することを命ずるとしても、 GSM のための協同作業の基本的なフレームワークが機能し続けることが重要である。

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2002-01-26