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交通法執行用デバイスの、 特に潜在的な TETRA や GSM の干渉に関連しての EMC 試験

翻訳: T.Sato

Airwave と呼ばれる新しい無線サービスが、 現在使用中の無線システムを置き換えるために、 イングランド、ウェールズ、そしてスコットランドの全ての警察に 徐々に導入されている。 この無線サービスは、より効果的で安全な通信システムを警察に提供する、 TETRA (terrestrial trunked radio) と呼ばれる欧州規格に基づいた 新しい先進的なデジタル基盤システムを用いる。 GSM 電話と同様、TETRA 無線はユーザーのいかなる行為もなしに そのネットワーク基地局に自動的に送信し得るので、 TLED に対する潜在的な干渉問題を同定することが必要である。

試験が必要となった機器

1. スピードメータ
   • 手持ち型レーダー式速度計測デバイス
   • 三脚取り付け型レーダー式速度計測デバイス
   • 空圧チューブ・センサー式速度計測デバイス
   • ピエゾ・センサー式速度計測デバイス
   • レーザー・スピードメータ
   • 固定型レーダー・スピード・カメラ
   • 距離／時間式自動スピードメータ
   • 携帯型距離／時間式スピードメータ

2. 固定型赤外線カメラ

3. 路上検査用呼気アルコール予備検査デバイス

4. 証拠用呼気試験装置 (EBTI)

使用された施設

Fig 1: QinetiQ の反響チャンバー

この反響チャンバーは、可変の変調を用いて、 100MHz〜18GHz の周波数範囲にわたってディケード当たり 100点で TLED を RF フィールドに曝した。 これらの試験は、ドラフト規格 IEC 61000-4-21 に従って実施された。 この試験は、それが現在使用できる 最も徹底的で再現性のある商用のイミュニティ試験手続きであることから選択された。 さらに、QinetiQ はこの試験テクニックの開発の前線におり、 従って有意な結果の達成のために必要なテクニックと方法論を深く理解していた。 結果として、QinetiQ は、 世界で最大のものを含む多くの反響チャンバーを使用できた。

試験機器

EUT 稼働要求を理解する

Fig 2: 空圧センサを持つ速度計測 TLED のための 車両シミュレータ

被試験 TLED を遠隔制御するために空圧アクチュエータが用いられた。 空圧アクチュエータの使用の利点は、 電気機械式デバイスが用いられた場合に生じるであろう 余計な影響を除去することであった。 適切なブラケットに取り付けられた空圧ラムの使用によって そのデバイスの全てのスイッチを制御することが可能であることが示された。

EUT の正確なシミュレーションの重要さを誇張することはできず、 これは特に EUT が長いデューティー・サイクルを持つ場合に 使用される試験方法に影響する。 例えば、もしその全サイクルがその動作の開始から完了までで３秒であれば、 周波数スペクトラムの大きな部分を通常の試験手続きでカバーできるだろう。 しかし、その TLED がそのサイクルのどの部分でも 特定の周波数に対して過敏でないことを保証するためには、 その干渉信号はその機器の１サイクルの期間のあいだ それぞれの周波数に留まらなければならない。 これは試験の長さに著しい影響を持つが、これは その機器がその動作の任意の時点で過敏であるかどうかを確認する唯一の方法である。

TETRA や GSM の試験に際して人間の影響をシミュレートするために、 Wiltshire の Porton Down にある UK Defence Science and Technology Laboratories (DSTL) から ２つの人体シミュラント (ファントム) を入手できた。 TETRA/GSM アンテナは立っているファントムに取り付けられ、 第２のものは EBTI を操作している警官を代表するために座っていた。

その人体シミュラントは、人体の誘電特性を代表するように設計された、 筋肉シミュラントで満たされた中空ファイバーグラス・ダミーの、 RF 曝露測定用ファントムである。 その多くが高い水分を持つ他の肉体組織と比較して、 筋肉は均質な肉体の適切な近似であると認められている。 この事例では、 異なった周波数のための式の表から筋肉シミュラントの式が選択された。 この表から、TETRA 周波数に対する公式化された混合物に最も近いものとして、 433MHz に対する筋肉シミュラントの式が選択された。 従って、それは TETRA に特に合っていた。 その混合物は、ポリエチレン微細粉末 15.4%、塩 1.0%、 TX151 ゲル化薬 8.4%、そして水 75.1% から成っていた。

この作業プログラムの元で TLED が試験されるべきフィールド強度の 正しいレベルを決定するために、 QinetiQ は購入した一群の TETRA 無線機からの真の放射電力レベルを決定するための 一連の管理された測定を実施した。 それぞれの機種の TETRA 端末について、 一連の温度、周波数、そして電源電圧にわたる、平均とピークの電力が測定された。 これらの測定結果は、 将来の TLED の型式認定のための新しい規定案の準備を助けた。

試験手続き

1. 反響チャンバー (Reverberation Chamber)

• パドル・ホイールは、TLED の反応時間に応じた速度で回転するように設定された。 30秒程度のアクイジション時間を持つデバイスの場合、 パドル・ホイールは 1.8rpm で回転させられた。 印加された最大のフィールドで、 それぞれの試験周波数で２回の完全な回転が行なわれた。 70秒のアクイジション時間を持つかも知れない別のデバイスは、 パドル・ホイールの回転速度を 0.8rpm に落とさなければならないことを意味するだろう； アクイジション時間が長くなると、その試験は遅くなる。

• フィールドは、以下のステップで増加させられた ―― 5V/m、10V/m、15V/m、及び 20V/m。 それぞれの試験レベルで、 パドル・ホイールは少なくとも１回転するように回転させられた。 適切な変調が適用された。

• もし何の影響も観察されなかったならば、 印加された最大のフィールド強度が記録され、その電力が除かれ、 そして周波数が次の試験周波数に変更された。

• もし影響が観察されたならば、 印加されるフィールドをゆっくりと低下させることによってその閾値が決定された。 それからその閾値が記録され、その電力が除かれ、 そして周波数が次の試験周波数に変更された。

2. Chertsey のシールド・ルーム

• TLED は、 その TLED のオペレータをシミュレートするために置かれたファントムと共に 通常の様式で準備された。 TLED を稼働させるために適切な動作シミュレータが用いられ、 動作させた際に TLED 上で安定した読みが得られるまで調整された。

• TLED を動作させるために操作が必要なコントロールは、 制御室から動作させられる空圧アクチュエータを用いて操作された。

• TLED の出力画面は、強化された CCTV システムを用いて監視された。

• TLED は、独立に送信する２つの独立した発生源、 脅威源ファントムとシミュレート車両とから放射される、RF フィールドに曝された。

• TLED は、信号源と距離のそれぞれの組み合わせのもとで稼働させられた。

• 様々なシミュレータ・アンテナに印加される RF 電力は、 6dB ステップで増加させられた。

• もしいずれかの周波数で感受性が見出されたならば、その電力は下げられ、 それから感受性の始まりが見出されるまでゆっくりと増加させられた。

結論

しかし、これは、 ユーザー、製造業者、あるいはそれらが使われる機関のオペレータが、 GSM や TETRA の信号が近傍にある場合に それらが正しく動作することを知ることを保証するために、 この種の機器が可能な限り広範に試験される必要があるという証拠である。

この試験は CE マーキングのために通常要求されるものを大きく超えたものであり、 「充分な注意 (due diligence)」の言明を満足するための要求を 大きく進めたものとして見ることができる。

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2003-01-06