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翻訳: T.Sato
製品リコールがあなたにどのように影響し得るかの２つの例を示そう。 まず、その第 8章に市場からの製品の排除の条項を含む「情報に関する要求」を持つ 一般製品安全規則 1994 がある。 一般製品安全規則は CE マーキング指令に伴うものではないが、 該当する指令で安全がカバーされていない場合 (例えば EMC に関して CE マーキングされているが低電圧指令の対象から外れる電気製品、 すなわちバッテリー電源の機器) には CE マーキングされた製品に影響することがある。 最近、EU 委員会は、製品リコールをカバーするものを含むその要求を鋭くすることを狙い、 この消費者保護規制の基礎の変更を提案した。 二番目の例は、第 10条で 安全でない製品が市場から排除されることを保証するための 全ての適切な手段が取られることを要求している、低電圧指令そのものである。 そのような明確な要求とともに、 製品リコールが機器の供給に関係する全ての人に理解されることが重要である。
一般製品安全指令は欧州の消費者安全規制の隙間を埋めることを意図している。 これは、次のものによって達成される： 消費者に供給される製品 ――有償であれ無償であれ―― は安全でなければならないと規定する； 安全な製品とは何かを定義する； そして安全性評価の枠組を示す。
一般製品安全指令、そしてこれらの規則は、製造者と販売者に責務を負わせる。 これら双方は、安全な製品のみを供給しなければならず、 また製品が合理的に予期される期間の使用において 安全性を維持していることを確認するための所定の活動 ――それが適切である場合にはモニタリングを含む―― も行なわなければならない。
一般製品安全規則は、包括的な安全条項が含まれている特定の指令 (例えば低電圧指令) によって管理される製品には適用されない。 しかし、そうでない場合には、安全は随意に 欧州規格、欧州技術規定、国内規格、 受け入れられている業界のプラクティス規定や技術水準を考慮しながら評価されるであろう。 このリストからは、適合への最も単純なルートは適切な EN 規格の使用 ――これは「ベスト・インダストリアル・プラクティス」を含む実証可能な文書となる―― によるものであると結論されるかも知れない。 だが、規格は規制への違反に関する全てのクレームへの 自動的な防衛を与えるとは限らないことに注意しなければならない。
UK Department of Trade and Industry (DTI) は 民生品のリコールに関するガイド (1999年 11月) を作成しており、 これは DTI ウェブサイトからダウンロードできる。 これはリコールの方針と手続きに関する実際的なガイダンスを含んでいる。 このガイドは、欠陥のある携帯電話用充電器の事例を含む、 いくつかの有用な現実の例も含んでいる。 このリコールのコスト (35,000個の充電器の発送と交換を除く) は £200,000 を超えた。 DTI からは消費者安全と製品設計に関するその他のガイダンス文書も入手できる。
いつリコールが必要か？ 明白で広範囲な危険やリスクがある場合には、この質問には容易に答えられる。 しかし、実際にはこれらの状況がそれほど単純であることは稀であり、 通常は程度の判断を必要とする。 全ての組織において、危機的な状況においてもイベントを制御できるように、 この判断が手順化されていることが最良である。 良い方針は、反射的な反応によるものではなく、通常は慎重な計画によるものである。 リコールの決断は、その危険が傷害を引き起こすリスク、欠陥製品の数、 そしてその製品が市場にあった期間を含む、多数の要因の関数である。 一般製品安全規則と低電圧指令のいずれも、 製品リコールに対する強制力のある要求は持っていない； それは安全の確保のために使用できるいくつもの手段の１つに過ぎない。 しかし、一般製品安全規則の改訂案は、 執行機関がリコールが必要であると確信した時に製品リコールを命令できる 強制リコール手続きの条項を含んでいる。
OXFAM は現在の指令 (英国で一般製品安全規則として実現されている) に対する EU 委員会のレビューの結果として DTI が配布したプロポーザルに反応した。 委員会は、その構造は健全であるが、いくつかの改善をする価値があるだろうと結論した。 これらの改善は、規格の強制のシステムの準備、 安全でない製品の執行機関への通知の義務の供給者に対する付加、 新しい製品リコール要求と市場での調査の強化を含む。 安全でない製品の EU 外への輸出の禁止を狙った興味深い部分もある。 後者の要求は、CE 指令でカバーされるべきであるものの EU 外での使用のためにこの規制を適用しない製品にも影響し得る。
リコールが必要となったならば、リスクを持つ全ての人に警告する責務がある。 DTI は所有者とユーザーの追跡のための３つの主な方法を説明し、 効果的なリコールを達成するためには それらのアプローチの２つ以上が必要となるかも知れないと示唆している。 最初の方法は、あなた自身の販売情報 (特に商用や産業用の製品)、 小売業者のリスト、保証契約書や保証／登録カードを含む、販売記録によるものである。 従って、これらの記録の完備を販売の時点で奨励する ――おそらくは何らかの動機付けによって―― ことはあなたの利益となる。 商用製品については、良い販売データベースと良く訓練された販売部隊が重要である。 第二の方法はより非限定的なものであり、 店内広告、商業誌、あるいはウェブサイトを通して、 所有者／ユーザーであるかも知れない人々に向けられる。 最後の、そしておそらく最も非限定的な方法は、通常の広告である。 この最後の方法は、多数の製品が市場にある場合に最も適切である。 しかし、それが焦点を絞らないアプローチであり、 散発的な結果を生じるかも知れないことを認識すべきである。 リコールは、しばしば欠陥製品の 10〜15% のみを回収するだけであり、 リコールによって製品を回収しようとしたというだけでは 残りの製品に対する責務は除かれないことを憶えておくこと。 製品リコールはあなたの責任とそれによる負の宣伝効果を最小限とする重要な方法である。
勿論、対象となる人々に接近する方法を決めることは最初のステップに過ぎない。 あなたはあなたのメッセージをそれらの人々に届け、 それに対する反応を起こさせなければならない。 DTI ガイダンスはこのメッセージを完全に明瞭にすることを勧告しており、 あなたの会社のための適切な通知の構想を助ける チェックリストといくつかの例を含んでいる。 要点は： その通知が安全に関する警告であることを明確に示す； その製品、問題、そしてリスクを、読んだ人が理解できるように説明する； そして彼らがどのようなアクション (すなわち、販売店や代理店への返品、この番号への電話、など) を取らねばならないかを読んだ人に知らせる。
その製品を誰が持っているか、 そしてあなたのメッセージをどのように伝えるかを決めたならば、 それを最小限の混乱で完遂できるように あなたのリコール方針を全ての関係者に連絡する必要がある。 重要な点は、返金が詐欺を防ぐように管理されること、 そして製品交換の流れが効率的であることである。 商用製品については、リコールは実際には再設置となるかも知れない。 この場合、所有者や作業者に正しいメッセージが伝えられるように、 再設置を請け負うために雇われた代理人に適切に指示することは必須である。 効果的なリコールは効率と責任を示す明確なメッセージを送るが、 まずく行なわれたリコールはあなたのブランドの評判に深刻なダメージを与え得る。
全ての人が彼らの製品がリコールを伴わないことを望んでいる。 DTI ガイドはリコールの防止のための一連の助言を含んでいる。 防止のためのそれらの要素の多くは、 前に引用した規制の例 (すなわち、一般製品安全規則と低電圧指令) でもカバーされている。 これらの規制のいずれの場合においても、良い設計、設計の評価のための規格の使用、 良い文書化と品質保証手続きは極めて重視される。 一般製品安全規則や低電圧指令のような規制を厳格に守ることは、 リコールの防止のための効果的な手法である。
これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、 その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。 この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。 これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。
Last update: 2001-11-18