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干渉とモバイル通信機器

by Anton Domone C.Eng. MIEE, Azdec Limited

概要

近年、電磁スペクトラムの混雑が、モバイル通信機器に関連したサセプティビリティ問題、及び干渉問題の双方の増加を生じている。より最近になると、携帯電話の使用の増大が、電磁放射による健康／安全問題を目立たせている。電力伝送に用いられる低い周波数から携帯電話や電子レンジの高い周波数に至る全帯域にわたるエミッションについての懸念が持ち上がっている。

モバイル無線からのエミッション

大半のモバイル通信機器は、数十メガヘルツから数ギガヘルツの周波数を使用する無線を含んでいる。ユーザー数と要求帯域の増加は続いており、動作周波数は年々上昇している。使用可能な帯域を分割し、通信の品質をさらに向上させるために、今ではデジタル・エンコーディングが広範に用いられている。

多くのモバイル通信機器の平均出力は低いものの、それが放射するピーク電力はその無線信号が他の電子機器に誘導した際に著しい問題を引き起こし得る。多くの敏感な電子回路は、誘導された電圧や電流で損傷を受けはしないものの、一時的に無関係な出力信号を生じ得る。これらの信号は、制御ループに二次的な損傷を与え、あるいはプラントのシャットダウンを引き起こし得る。

産業界の多くのオペレータは、コンピュータ・ルーム内、入出力インターフェース・パネル近傍、コントロール・センター内、あるいはシャットダウン・システム近傍での無線機器の使用を禁じられている。航空機オペレータらは、モバイル無線デバイスの過多が内部音声回路の突破や航法システムの妨害を引き起こし得ることに気付いた。

著者は、プラントの制御ループが完全に不安定になるのを経験したことがあり、１つの例では、無線が使用された際に歪ゲージ増幅器が誤った出力を出し、危うく大型水門の著しい損傷を生じるところであった。

電気機器からの無線放射

パワー・トランジスタやゲート・ターンオフ・サイリスタによって大電流が比較的高速でスイッチされるパワー・エレクトロニクスは、著しい電磁界を発生し得る。これらのテクニックを用いた応用は、制御盤や関連する金属構造の局所加熱、無線通信への干渉、そして、誘導ループ通信や漏洩性フィーダなどにおいては通信システムの完全な機能不全を引き起こし得る。産業界を含む多くの領域が電磁界を放射する機器 ――例えば、船舶や潜水艦、発電、放送、そしてその他の多くのもの―― を用いている。

船舶や原油精製プラットホームの電気式駆動装置の集まりが無線や誘導ループ音声通信の使用を完全に駄目にしたいくつかの例がある。

通信媒体としての赤外線

地理的な分離を可能とするカバー範囲の縮小と使用可能な帯域の増大を可能とする増え続けているキャリア周波数という現在のトレンドの中で、赤外線は無線伝送のエミッションやサセプティビリティの問題のない短距離の通信を提供する。赤外線がデジタル・エンコーディング・テクニックと共に用いられ、分散セルラー・アプローチと組み合わされた時、数千平方メートルの面積が多重チャネル全二重モバイル通信でカバーできる。

デジタル的にエンコードされた赤外線通信は、低レベルの不可視赤外線が使用されていることから視覚的な、また健康上の危険を持たず、無線波を放射せず、また電子／電気機器からの高レベルの電磁放射に全く影響されない。

高レベルの電磁ノイズを放射している機器の近傍においてさえも、その伝送信号の品質は特筆すべきものである。赤外線システムは最も敏感な電子機器の近傍においてもいかなる悪影響もなく安全に使用できる。

赤外線の利点

次のリストは、通信媒体としての赤外線の利点を示す：

短距離の予測できるカバー範囲；距離による完全なセキュリティとシステムの分離が可能。
潜在的な健康上の危険がない。
数ギガヘルツに達するスペクトラムの他の電磁放射に影響されない。
数ギガヘツル以下での電磁放射がほとんど、あるいは全くない。
免許が不要。
格段に明瞭な通信。

以前は、デジタル赤外線システムは軍用のもののみが入手可能であったが、今では商用のバージョンも入手可能である。

商用の用途

このような赤外線システムには、著しい電気的干渉がある、あるいは無線波の放射が許容されない場合の、多数の用途がある。

高レベルの電磁放射が存在する場所は：

放送用送信器
可変速モータを使用している産業
電気推進を用いている船舶
発電所
レーダー施設

無線放射が勧められない場所は：

医用機器や生命維持装置の近傍
爆発物の取り扱い
敏感な産業用制御システムの近く
管制室や管制塔
情報をその場に閉じ込めておくべき、セキュリティを意識した領域
航空機

これは、EMC+Compliance Journal に掲載された記事を、その許諾を得て T. Sato が翻訳したものです。この翻訳については、原著者らはいかなる責任も持ちません。これについての意見、質問などは VEF00200@nifty.com (T.Sato) 宛にお送り下さい。

Last update: 2001-12-26